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そんな私を見て少し笑った彼が続ける。
「最初はさ。候補が４人も居るって聞いて、俺なんか無理やん、って思ってたんやけど。
やっぱり、Aのことは大好きやし、誰にも渡したくないな、って思って」
ストレートな彼らしい言い方は、私の心にも素直に届いて、胸が熱くなった。
「今日の星座の話みたいに、…二人で、素敵な物語が作れたらええなあって思って…」
そこまで言って言葉を切った坂田くんをじっと見ていると、彼は複雑な表情をした。
「………ちょっと待った、やっぱ今のナシ！めっちゃ恥ずい！」
自分の発した言葉に急に恥ずかしさを感じたらしく、目の前で手をぶんぶん振りながら慌てたように言う彼が、可愛らしく思えた。
ふふ、と笑いを堪えきれなかった私を見て、坂田くんは恥ずかしくて居たたまれないといった顔をした。
…こんな人と、これから先も一緒に居れたら。
ふとそう思えて、彼に返答しようと、自然と私から彼の手を取った。
その、瞬間。
目の前が一瞬暗転し、すぐに今度は真っ白になった。
そして、私の中に、映像みたいなものが流れ込んできた。
幸せそうに微笑む私は、今より少し歳を重ねているよう。私の腕の中では、女の子の赤ちゃんが、すやすやと眠っている。
そして、隣には。
今、目の前にいる彼が。
「____________？_____A！？」
呼ばれていたことに気付き、ハッと意識を取り戻した。
今のは、何だったんだろう。
「どうしたん？…体調、また悪くなっちゃった？」
自分の身に起こった事が理解できず戸惑う私を、坂田くんが心配そうに覗き込んでいる。
「…う、ううん、だ、大丈夫、ごめんね」
「…なにか、星詠みの力を感じたん？」
私の異様な様子に、彼は鋭い指摘をしてきた。
…そうか、星詠みの力だったのか。
そこは納得できたものの、だとすると、今度はその内容が信じられなかった。
「星詠み…だったのかもしれない、でも、ちょっとまだ自分でも分からないや…ごめんね」
今は、とりあえずそう言うのが精一杯だった。
「謝ることないって、俺こそごめんな、無理させて」
「ううん、坂田くんこそ、そのことで謝りすぎだよ」
私がそう言って笑顔を見せると、坂田くんも「そうかも」と笑った。
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作者名：しろ鮎
| 作成日時：2023年8月29日 20時
