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気を取り直して、ベンチに彼と並んで座り、星空を見上げた。
「Aは星座の話とか知ってるよね？」とリクエストを受けて、星座の話を沢山すると、うんうんと頷きながら一生懸命聞いてくれる。
数個、星座の話が終わった時に、坂田くんはポツリと話しだした。
「星座って、誰が考えたんやろ？」
「うーん…起源としては、5000年前くらいとか言われてるけど…」
「ごせん！？今にせん…なん年やん！？どーなってるん！？」
職業病が出てしまい真面目に答えると、いつも来てくれる小学生たちみたいな反応が返ってきて、思わず笑ってしまう。
「基本的には…88星座っていうのがあるよ」
「へえ…意外と少ない気するなあ。
でも、星座に物語がついてるなんて、なんだか素敵よね」
「うんうん、神話がほとんどだけど、星を見ながら色々と想像できるのは良いね」
「ホンマや…今度また調べてみよかな…やらなそうやけど」
「確かに…」
「ちょ、ひどない？俺やってやる時はやるし！Aだけでも信じてて欲しいんやけど！」
どんな話でも興味を持って真剣に聞いてくれて、楽しくお話ができる坂田くん。
今出来た、少しの沈黙も嫌じゃなくて、一緒に居てとても居心地が良いんだよなあ、なんて思ってると、坂田くんが、少し緊張気味に口を開いた。
「あの…さ。」
「？」
「その…。Aは、織姫なわけやん？」
「…うん、そうだね…そうなるんだろうね」
自分のことなのに他人事のように答える。
そのくらい、今はまだ実感がない。
「なぞらえてるだけにしてもさ、織姫と彦星って、ホンマに有名な物語やんね」
「そうだね」
「年に一夜だけ、会うのを許されてるなんて、一見ロマンチックやけど…俺やったら我慢できんなあ」
「ふふ、私もそうかな」
好きな人と年に一回しか会えないなんて、本人たちはどう思っているんだろう。
罰として仕方ないと嘆いているのか、これも運命と受け入れているのか。
「でも、運命だから仕方ないとか思ってるのかなあ…」
思っていたことをポツリと漏らすと、坂田くんは思いの外真剣な目でこちらを見た。
「…Aも、そう思う？」
「…え？」
「自分が織姫になるのが、運命やから仕方ないって、思ってる？」
ストレートにそう聞かれて、素直に首を横へ振った。
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作者名：しろ鮎
| 作成日時：2023年8月29日 20時
