検索窓
今日:7 hit、昨日:27 hit、合計:6,961 hit

⭐︎ ページ15

.



「ご、ごめんなさい…」

確かに、友達がいきなり救急車で運ばれたなんて聞いたら驚くだろう。
ましてや、坂田くんにとっては職場だ。心配かけて申し訳ない…という気持ちで一杯になり、俯いた。

私の頭上でため息をついた後、坂田くんは続けた。
頭に手を乗せられたままなので、私は顔を上げることも出来ず、彼の表情は分からない。

「ホンマにもう…心配させんなよ」

ポツリと、彼が言葉を零した。

切なくて、想いのこもった言葉に、心臓が掴まれるような感じがした。


返事を迷ううちに、坂田くんは手を離した。

「とりあえず、せっかく俺が持ってきたんやし、ご飯食べて?食べれる?」

「あ、うん、食べれるよ…楽しみにしてたんだ」

「病院食楽しみにする奴なんてそうそう居らんけどな…まあ元気ならええか」

苦笑しながら、坂田くんが持ってきてくれた夕食に手をつけようとした。


トレイに伸ばした手を、彼に遮られる。

「…?」

彼の方を見ると、坂田くんはニッコリと笑った。

「まあまあ、患者さんの手助けをするのが看護師の役目やし?俺が食べさせてあげる」

「え!?いや、もう一人で食べられるよ、大丈夫」

「いやいや、その為に俺も来たんやしなー、まあ今はもう勤務外やけど」

色々と話が破綻している気もするけど、
要は私に、その…食べさせたいってこと?

でも、点滴ももう外れているし、あとはゆっくりしていれば明日の朝退院と言われている。


「心配かけちゃったし…、これ以上坂田くんに迷惑はかけられないよ」

「なら尚更、俺のお願い聞いてほしいな?」

坂田くんはまた慣れた手つきでお椀を持ち、スプーンで中身をすくってこちらへ向けてきた。

⭐︎→←⭐︎



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
111人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , となりの坂田。   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しろ鮎 | 作成日時:2023年8月29日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。