⭐︎ ページ12
.
(夕飯…食べる気にならないな)
ここのところ蒸し暑いし、食欲も湧かない。
いつもよりも遅い時間のせいで、電車も混んでいて座れず、フラフラの身体をなんとか吊り革で支えて電車に揺られた。
(………あー、ちょっと…やばいかも)
やっと最寄駅のホームに着いたものの、7月初旬の気候と人混みの蒸し暑さで、身体が思うように動かない。
とりあえず座って少し休もうと、少し遠くにあるベンチを目指す。
が、電車を降りた人々の流れに逆らう形になってしまい、ベンチがかなり遠い。
その時。
ガツンと肩に衝撃を受けた。
出口へ向かう人とぶつかってしまったらしい。
やばい、と思ったものの、やはり身体は思うようには動かせず。
そのままホームへ倒れ込んでしまった。
⭐︎⭐︎
その後の意識は、曖昧だった。
周りの人が何人か声をかけてくれたものの返事も出来ない。
駅員さんらしき人が来てくれた気もするし、救急救命士さんに話しかけられた気もする。
⭐︎⭐︎
次に意識がはっきりしたとき、私は病院のベッドの上だった。
目が覚めた時にまず見えたのは、白い天井。
周りを見回すと、白い壁、白い布団。腕に繋がれた管。
そして、病院独特の匂い。意外と冷静に状況が把握できた。
111人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しろ鮎 | 作成日時:2023年8月29日 20時