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「Aのおばあちゃんに言われた、って、そのまま俺の親に言うたら良かったんやけど、内緒にしなきゃあかんのかと思って。で、当日にお腹痛くて動けん〜って駄々こねて、一日延ばしてもらったんよ」
「…なかなかに力技だね」
センラくんのご家族も困っただろうに。
「いやでも、結果的にさ。その日、俺らが通る予定やった高速道路で大きな事故があって。復旧にも一日かかったんよね」
「…そうだったんだ」
「まあ、どうせその日出発しても予定通り向こうに着けんかったやろし、もしかしたら、その事故に巻き込まれてたかもしれんしね」
「……」
「だから、“大袈裟に言うと、Aのおばあちゃんのお陰で俺は今生きてる”って話。」
その話は初耳だった。
まあ、センラくんにとっては懐かしいただの思い出話のひとつなのかもしれない。おばあちゃんがそうやって何かを察知するのも、よくある事だったし。
私がふと考え込んでいると、隣の気配が動いた。
センラくんが、私が持っていたお酒の缶をそっと取り上げてテーブルに置く。
中身はすでに無くなっていて、カツン、と乾いた音がした。
そうして彼は、空いた私の手をそっと取った。
反射的に彼の顔を見上げると、優しく、愛おしいものを見るかのような目でこちらを見ていて、顔に熱が集まるのを感じた。
「あの時何かあったら、俺はここにはおれへんかったやろしな…、こうやって、とまた会える事もなかったかも、って思うと、もう、大事にせな、って」
「…そんな、」
なんて返せば良いか困ってしまいそのまま見つめ返していると、彼は「ごめん、ちょっと困らせてもうたな」と笑いながら言った。
そうして、もう一つ持ってこよか、とセンラくんがソファーを立ったので、ひとつ大きく息をついて、それを見送った。
安心したのもあり、だいぶ酔いが回っているのもあり、話し相手が急に居なくなって、眠くなってきてしまって。
センラくんが戻ってきて、ソファーにまた座った時には睡魔と戦い始めていた。
「A…眠い？」
「…ん、ちょっと…」
「寝てもええよ」
「…うん」
家に帰らなきゃだとか、服も楽なのに着替えたいだとか、メイクも落とせてないだとか、色々と抵抗する思いはあったものの、睡魔には勝てない。
隣に居てくれる温かさと、優しい言葉も後押しして、私はそのまま、彼に寄りかかるように意識を手放した。
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しろ鮎(プロフ) - 白雨さん» 白雨さんー！お返事遅くなりすみません！ありがとうございます！勝手に心の中で師と仰ぐ白雨さんにそんな風に言っていただけるなんて、とっても嬉しいです。引き続き温かい目で見守っていただけたら心強いです、また覗いてやってください〜！ (9月4日 12時) (
レス) id: 452c1db09c (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - セさんルート完結おめでとうございます〜！私はやっぱりしろ鮎さんの書く文章が大好きです……！展開も、表現も、ストーリー全体も全て飽きなんて感じさせなくて、心から尊敬します。未だに他の小説も読み直したりしてます。別ルートのお話も楽しみにしております！ (9月1日 0時) (レス) id: 4da6c03140 (このIDを非表示/違反報告)
しろ鮎(プロフ) - ちぇろさん» わー！ちぇろさんだ！お久しぶりですご無沙汰してます〜！毎度宣伝しないのに見つけてくださって、コメントまでくださってありがとうございます！ホントに長い間読んでもらって、作者冥利に尽きます。しばらくこのシリーズが続くのでまた次作もよろしくお願い文字数 (8月23日 19時) (レス) id: 452c1db09c (このIDを非表示/違反報告)
ちぇろ - しろ鮎さんの小説を初めて読んでから約4年が経ちましたが今もこうして新しいお話を見つけることができて幸せです。これからもしろ鮎さんのペースで更新待ってます！連投失礼しました、次のシリーズも楽しみにしています！ (8月23日 2時) (レス) id: cd65e0c157 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇろ - お久しぶりです！素敵なお話をありがとうございました！モチーフになっている七夕曲、大好きな曲なので歌詞が元になったセリフが出てきてキュンキュンしました！幼馴染の世話焼きセさんという設定すごく刺さりました… (8月23日 2時) (レス) @page31 id: cd65e0c157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろ鮎
| 作成日時：2023年7月24日 16時
