【urt】dreamin’ Halloween Night【usss】 (ページ14)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:20,459 hit

13 ページ14

.

こんなに感情が動いた事なんて今までなかったけど…
恋をするって、こういう事なんだ、と実感するくらい、彼と離れたくない、なんて思いが溢れた。

「私も、うらたさんの住むところへ、一緒に行きたい…！」

「お前なあ…」

思わず出た、子供みたいな私の言葉に、うらたさんがため息をつく。

「Aはここでまだやり残してること、あるだろ」

確かに、そもそもきっとマンションの窓は開けっ放しだし、明日は普通に仕事がある。
急に私が居なくなったなんてなったら、会社の同僚や家族は心配するかもな。

考え込む私に、うらたさんが優しく言った。

「もし１年経ってもAの意思が変わらなければ、連れて行ってやるよ…俺たちの世界に」

彼も、私を連れて行こうという意思は持ってくれているんだ、と分かったのは嬉しかった。
彼の言葉にこくりと頷く。
でも、１年とはいえお別れは寂しい。

頷いたそのままの姿勢で俯く私の前で、うらたさんが動いた。
見上げると、首元の鈴を外している。

チリン、と可愛らしい音がした。

うらたさんは、それを私に差し出した。

「コレ、持っとけ」

「え…」

「１年後、お前をすぐに見つけられるように」

そっと両手の平で受け取った後、彼を見上げた。

「大事なものじゃないの？」

「ばーか。Aの方がもっと大事だっての」

「！」

恥ずかしいセリフを言ったのは彼なのに、彼の方が恥ずかしそうにもじもじしていた。
それが可愛らしくて、なんだか可笑しくて。
ふふ、と笑うと「笑ってんじゃねえ」と不貞腐れたように言う彼が、ますます愛おしくなった。

「…大事にするね」

「…ん」

やまだちゃんが、きゅー！と慌てたように鳴いた。
…どうやら、帰る時間が近づいているらしい。

「とりあえずお前を家まで送るわ」と、元来た道(？というか、空中)をまた飛んで(やっぱりそれなりに怖かった)、私の家のベランダへ下ろしてくれた。

「…じゃあな、A」

「…うん」

私を見つめる彼が、困ったように眉を下げている。

「…泣くなよ」

我慢していたのに、いつの間にか泣いてしまっていたようだ。
慌てて顔を擦ったら、その手をそっと掴まれる。

「そんな事したら、可愛い顔が台無しになるだろ」

そう言うと、そのまま彼の顔が近づいてきた。

そっと、唇が触れ合う。

彼らしい、優しくて、ふわりと飛び上がりそうな柔らかいキスだった。