【urt】dreamin’ Halloween Night【usss】 (ページ15)

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「…必ず、迎えに来るから」

強い口調で言う彼に、私も強く頷いた。

「絶対に、待ってる」

「また、あのクッキー作ってくれよ」

あの、とは、うらたさんが気に入っていたキャンディクッキーのことだろう。

「沢山作っておくね」

笑顔を見せると、うらたさんはやっと心から嬉しそうな笑みを見せた。

そうして、やまだちゃんと共に、何処かへ消えていってしまった。

＊＊

次の日。

「おはよー、A」

「おはよ」

昨日、私の作ったお菓子を沢山持っていった同僚が近づいてきた。

「昨日はありがとー！美味しかった！」

「いいえ、喜んでもらえたなら良かった」

普通に返したつもりなのに、同僚に何故か凝視され、さらにニヤニヤされる。

「なんか…いいことでもあった？」

「え、いや、別に〜？」

不自然すぎる返しだと我ながら思ったけど、目の前の同僚はさらにニヤニヤし始めた。

「ウソ！もしかして彼氏！？昨日もデートだったからイベント参加しなかったんでしょ！？」

「え、や、いや、その…」

彼氏ではない。
けど、思い返してみれば、あれはデート…だったのかな…

ますます囃し立てる同僚を、苦笑で誤魔化しながらしばらく見ていたのだけど、

…何か、違和感を感じた。

「ね、そっちだって…何か、あったんじゃない？」

ここ数日、うらたさんとやまだちゃんに会っていたせいで、幼い頃の感覚が戻ったように、ヒトではないものへのセンサーが働くようになってしまった。

彼女からも、少ーしだけ、気配を感じる。

でも、彼女は確実に人間だ。

「んー、あったけど、秘密！」

首をこてんと傾げた彼女の、右耳に見慣れないオレンジ色のピアスが揺れた。

そうして、また、いつも通りの日常に戻った。

ハロウィンの数日前、たぬきを助けた私は。
ヒトではない彼と、心を通わせ、将来を約束した。
っていう、不思議なお話。

１年後。

「うらたさん遅いよ！もうハロウィン当日じゃない！」

「お前なあ…！住むとこ変えてんじゃねえよ！」

「だって！コレ(＝鈴)あればすぐに見つかるんじゃなかったの！？」

「遠くに離れたら分かんねえの！ったく…めちゃめちゃ探したわ」

「…でも、ありがと、見つけてくれて」

「約束だからな。…ホントに、良いのか？」

「私は良いよ。うらたさんも、ホントに良いの…？」

「…後悔させねえから、付いてこいよ」