【urt】dreamin’ Halloween Night【usss】 (ページ2)

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10月もそろそろ終わり、という、とある日。

「お疲れ様〜」

「お疲れ、A！あ！」

「…なによ」

「約束！覚えてるよね…？」

「ちゃんと覚えてるよ、当日に向けてちょっと練習してるから」

「やった！Aの手作りお菓子をハロウィンに食べるために仕事頑張るわ！」

「…もっと他の理由で頑張りなさいよ…」

「じゃーね、お疲れ！」

同僚と軽口を交わし合い、職場を後にした。

あと数日でハロウィンだ。
お菓子作りの得意な私は毎年ハロウィンに沢山お菓子を作って職場へ持っていっている。
それを楽しみにしてくれている同僚が居るのだ。

…ホントは、楽しみにしてくれる彼氏、が居れば良いんだけど、ここ数年そのチャンスすらない。

とりあえず今日は早く退社出来たし、スーパーへ寄って製菓材料を補充しようかな〜、なんてウキウキしながら家路を歩いていると、道端に“何か”が落ちているのを見つけた。

「なんだろ…？」

黒い布の塊かと思ったが、近づくにつれ、その塊から可愛らしい獣の足のようなものが見えているのが分かった。

え…もしかして車に轢かれちゃった的な？とも思ったけど、更に近づくとその塊は上下に少し動いていて、呼吸しているようだ、とホッとする。

黒い布だと思っていたものは、服のようだ。
服を着せられてるなんて、犬とかかなあ？
と、被さっていたフードを恐る恐るめくると…

「た、たぬきだ…」

まさかまさかのたぬきだった。

こんな可愛らしい服を着せられてるたぬきなんて初めて見る。
そもそもたぬきをペットにしてる人なんてあまり居ない…よね？