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ひゅう、と、冷たい風が吹き抜けて、思わず身震いする。
まだ冬じゃないのに、すごく寒く感じた、その時。
♪〜
深夜の住宅街に、電話の着信音が響き渡った。
「っ、やば、」
慌てて自分のスマホを取り出して画面を見ると、そこには、『志麻』の文字。
「…!!」
考えていたところへちょうど着信なんて、と、思いながら、『応答』をタップした。
「も…もしもし?」
『A?』
ちょうどさっき思い出していた、私の大好きな、低めの声音が私の名前を呼んで、耳に流れ込んできて、それだけでドキドキする。
「うん、どしたの?」
あまり気付かれないようにそういうと、向こうものんびりと答えた。
『んー、今Aどうしてるかなあって…もう寝てた?』
「ううん、今日は会社の飲み会だったから、まだ家じゃないんだ」
『ほーん、そっか』
「志麻くんは?」
『ん?俺はまだ寝る時間ちゃうし』
夜型の志麻くんは、この時間なら家で作業中かなあ、と思いながらも、電話の向こうの音をよく聞くと、どうやら彼も屋外のようだった。
「志麻くんもまだ外にいるの?」
『ん?うん、まあな』
「今日外の仕事だったの?撮影とか?」
『あー、うん、まあ…』
「…??」
なんだか、歯切れが悪い。
『Aは、もう家着くん?』
「んー、そうだね、もう少しで着くよ」
『結構飲んできた?』
「それなりかな、別に足元はしっかりしてるから大丈夫だよ」
大丈夫なのが見せられれば良いのだけど、そう簡単にもいかず(ビデオ通話じゃ伝わらなさそうだし)、歯痒く感じる。
が、次に彼が電話の向こうで発した言葉は、何故か確信めいていた。
『…うん、そうやね、別にフラフラしてなさそうやし、大丈夫そうやね』
「……………え?」
何その、見てるような言い方…と言おうとしたところで、
数十メートル先に見えてきた、私の住むマンションの入り口に寄りかかる男性の影を見つけた。
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しろ鮎(プロフ) - 白雨さん» わー!白雨さーん!コメント下さってたんですね、返事がめちゃくちゃ遅くて申し訳ないです…ありがとうございます!ハロウィンにかこつけてイチャイチャしてるだけな感じですが(笑)、書いてて楽しかったです。次も今準備中なので(12月なのでアレです)良ければ〜! (2020年12月3日 22時) (レス) id: dffb4b3955 (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 新作出してらしたんですね……!今回の短編集も四人の特色がよく出ていて愛らしさを感じる雰囲気でした!ハロウィンのお話を書かれるとは予想していなかったので新鮮な感じです(笑) やっぱりしろ鮎さんの書くお話大好きだなーと思いながら読ませて頂きました(*´艸`) (2020年11月24日 22時) (レス) id: f9e7441818 (このIDを非表示/違反報告)
しろ鮎(プロフ) - ちぇろさん» ちぇろさんご無沙汰してました、今作もお付き合いありがとうございました!一つのテーマを設けて作るの楽しかったので…またやろうかな?と思い始めてしまいました笑 またよろしくお願いしますー! (2020年10月30日 8時) (レス) id: dffb4b3955 (このIDを非表示/違反報告)
しろ鮎(プロフ) - リセットさん» 初コメありがとうございます、前作も読んで下さったんですね…嬉しいです!ときめきをお届けするのが私の作者としての目標なので、リセットさんにはお届けできたようで良かったです〜! (2020年10月30日 8時) (レス) id: dffb4b3955 (このIDを非表示/違反報告)
しろ鮎(プロフ) - せせ@れいとうるぅれっとさん» コメントありがとうございます、最後までお付き合い頂きありがとうございました〜!自己満足の小説なんですが、お楽しみ頂けて良かったです!またよろしくお願いします〜! (2020年10月30日 8時) (レス) id: dffb4b3955 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろ鮎 | 作成日時:2020年10月11日 6時