【短編集】Lovers in Halloween【u/s/s/s】

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浦田わたる。別名(？)うらたぬき。
歌い手グループ「浦島坂田船」のリーダーで、Twitterのフォロワー64万人の彼は、歌い手と並行して声優としても活動している。

その彼が、私たちのチームで開発中だった乙女ゲーに声で参加することになり、いざ会ってみれば実は私の幼馴染で、
…まあ色々あって、今は私の同棲中の恋人だ。
会社の飲み会終わりに急に堂々と迎えに現れたりするから、開発チームのメンバーには付き合っていることはほぼ知られている。



…アラサーの彼女のコスプレ写真なんて喜ぶどころか呆れられそうなんだけど…
そもそも、まさか私がコスプレしてその写真をT◯itterにあげてるなんて思わないだろう…
てゆーかアイツはすでにハロウィンコスプレをバチバチに決めたやつ動画であげてたけどな、

とか色々思っているのに、
結局カオリちゃんに乗せられて衣装を選ぶことに。


無難な魔女の衣装にした。
黒いとんがり帽子に、黒のワンピース…といっても、胸元は異常に開いてるし、丈が異常に短い。
一緒に入っていた網タイツは流石に痛いと感じたので、急いでコンビニで黒いストッキングを買ってきて履いた。


コスプレなんて多分子供の時以来だ。
と言っても、私が子供の頃はハロウィン＝コスプレみたいな習慣はあまり定着してなかったから、幼稚園でやったクリスマス会で私がサンタ、わたるがトナカイの格好をして二人並んで写真に収まっているのを実家で見たことがあるくらいだ。


衣装を着たものの、姿見なんて会社にはないから、自分がどんな風なのかは全然分からない。

「良いじゃないですかAさん！お似合いですよ！」

それでも、ウサギ姿のカオリちゃんにそう言われ、写真を撮ってくれた他チームの後輩にも褒められ、満更でもない気分でポーズをとって写真に収まった。
我ながら単純すぎた。


写真はカオリちゃんが顔を隠すなどの加工をしてすぐにT◯itterにあげられた。


『Happy Halloween!開発チームです。１日前ですがハロウィン気分を味わってみました。ゲームのハロウィンイベントも10/31明日まで！カレとの甘くて妖しいハロウィンの夜を最後までお楽しみ下さいね！』


そのツイートに間も無くして付いたお知らせには、結局帰宅するまで気付かなかった。


『うらたぬき♧浦島坂田船/浦田わたるさんがいいねしました』




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