Bite me!!

≫ ページ10

隆「お、上がった」
「うん、ありがとう」

帰ったらリビングにいて、さっきはびしょ濡れ泥まみれだったのが綺麗になった。出るときに置いといた着替えも身長あるから着れてるし、まぁOK。

隆「うわ、足も怪我だらけじゃん」
「大丈夫」
隆「大丈夫じゃねぇよ。大事な商売道具だろ」
「……うん」
隆「で？何でこうなった？」
「それは……」
隆「何か言われた？ななこちゃん喧嘩っぱやいけど、理由なくする訳じゃないだろ。それに普通ならダンスでケリ付けてる」

頬にかかる髪をどけながら聞けば、一瞬泣きそうな顔して俯きながら話始めた。まぁ、内容は最低なもんで、ダンスで負けたら腹いせかこいつに「兄妹とか嘘だろ」とか「実は寝てんじゃねぇの？」「他のメンバーにも足開いてんだろ」だとか言われたらしい。

「私は何言われてもいい、でも、皆がっ」
隆「分かってる……ありがとな。俺たちのために」

自分がそういう女だって言われたから怒ったんじゃねぇ。直人さんや俺たちメンバーもそういう奴みたいに言われたのが頭に来たんだ。直人さん家に行っても大して関わってなかったけど、それでもななこちゃんは俺たちのことを思ってくれた。

「ふっ、ううっ、うっ……！」
隆「…………」

ゆっくり抱き寄せた肩。すがり付いて泣くことも知らないななこちゃん。
いつも、一人で戦ってんだ。ただの片岡直人の妹じゃなくて、EXILE、三代目、ひいてはLDHっていう看板があるNAOTOの妹っていう強すぎて、虚勢はってじゃないと立っていられないほどの世間の目。

隆「もう、一人じゃねぇよ」

俺がいる。だから、もう泣くな。
もう、悲しいダンスは踊らせねぇよ。

５→←４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す