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698日目9話 ページ10
朝の静けさを切り裂くように、私の声は森に響く。
「やめろ終天。この子に響く。」
彼女はそう言いながら、大きく膨れたお腹をゆっくりと撫でる。最早ベットから起き上がることすら出来なくなった彼女。
「しかし私は、あなたと永遠を生きたい。」
こんなに感情的になったのは初めてかもしれない。
夫婦喧嘩…いや、客観的に見れば、私が一方的に私情をぶつけ、それを彼女がやや呆れた様子でなだめているだけ。
私は彼女と永遠を生きたい。しかし今の彼女は、昔とは比べ物にならないほど弱っていた。それもこれも、彼女が宿した子のせい。しかし今ならまだ、子を諦めれば彼女は延命し、更に私の力を分ければ半永久的に生きることができる。
しかし、彼女はそれを拒み、子を産むと言い出した。
今の私には、彼女の考えが全くというほどわからない。
自分の命を投げ出してでも誰かを救いたい。その精神がわからなかったから。
自分が、そうまでして愛されたことがなかったから。
「神に選ばれたものは、幸せになれない。」
御婆様の言葉が、ゆっくりと脳に吸い込まれていった。
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作者名:へたやん | 作成日時:2017年7月3日 19時