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696日目7話 ページ8

ーやはりそう簡単にはいかないか…?
「やっぱり私、穢れてますよね…。」
そう言ってあからさまに悲しそうに笑い、手を引っ込めようとすれば、彼女は困ったような顔をして、「あ〜!」と言いながら私の手を握った。
瞬間、私は彼女の手を自分の元へ引き寄せ、彼女もろとも地面へ横になる。
「きゃ!」
私の上に倒れてきた彼女は、暫く状況を理解できていないようだった。
「…ッフ、アハハッ!」
私が笑えば、彼女は耳まで真っ赤に染めて私から離れようとする。が、私は彼女の頭を押さえつけると、そのまま自身の胸元へ押し付ける。そしてゆっくり、彼女の頭を撫でた。
「ね?温かいでしょう?…人の温もりは。」
私の言葉に、彼女はピクリと反応した後、じっくり間を置いてコクリと頷いた。
「私も、こんなに人の温もりが温かいと感じたのは初めてです。そして、人と共にいることが、こんなにも楽しくて嬉しいと感じたのも。」
私の言葉に、彼女は何も言わない。しかし私は言葉を続ける。
「…そして、誰か特定の人と共に過ごすことが、今までにないほど幸せであるということも。…私は、初めて知りました。」
自分の心臓が、これまでにないほど煩く、そして早く動いているのを感じる。
心地の良い風が私と彼女の周りを取り巻く。
長い沈黙の後、彼女は顔を上げた。
何を考えているかわからない、ほんのりと顔を赤く染め妖艶な表情をして、彼女は私の頬に手を添える。
「…不思議だ。神に選ばれ、私とは生きる世界が違うお前でも、今まで抱いてきた思い、そして今感じることは同じなのか。」
艶やかな唇なら溢れる言葉は、今までの荒げていた声とは違う。
ゆっくりと、しかし確実に。私の心の隙間を満たしていった。
「…お前は、何を望む?」
彼女の後ろに見える夕日は、彼女を濃く縁取っていく。
「私は、…あなたと永遠を共にしたい。」

私が初めて抱いた欲望。
しかしその願いすらも、神に届くことはない。

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作者名:へたやん | 作成日時:2017年7月3日 19時

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