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704日目毒々独 ページ16

目が覚めた時、そこは先程までと何ら変わりない森の中だった。強いて言うなら、私以外に1人が地面に倒れているということ。もう1人…レナの死体はない。変わりにあるのは灰の山。
「神威、神威。」
かなり時間も経ったし、身体中に毒が回っているのか神威の目が開くことは無い。
「…私なんかを庇うなんて、あんたもまだまだね…ありがとう。」
それなりに血を出したが、まあ船まで戻ることは出来るだろう。意識のない神威をおぶると、船を目指して歩き始めた。

「…死ぬってことは…ありえるか。」
鼓動がなっているのは分かる。しかし、まるで死んだように動かない神威に不安を覚えた。
毒を出すべきか。
そんなことを考えながら暫く歩いていると、小さな小川を見つけた。ゆっくりと手を入れれば、ジュウゥと煙が上がる。この水、酸性だ。
見たこともない植物もあるし、どうやらこの星は独自の進化を遂げているらしい。
「ッチ。」
焼け爛れた手にちぎった服の切れ端を巻き付け、再び神威をおぶって歩き始めようとした。
いや、この際…。
私は神威の体をゆっくりと下ろすと、傷口を確認した。傷口は5箇所。変色などの異常はない。
私は傷口に口をつけ、中身を吸い出す。口に含んでも刺激はない。神経毒なとではないようだが、血の味しかしない。もう全身に回っているのか。ペッと吐き出すと、神威の額に触れた。そこはさっきよりも熱を持っている。毒が回っている証拠だ。ならば、一刻も早く船に戻るのが得策か。
私は神威をおぶると、霞んできた視界のまま森を走り抜けた。

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作者名:へたやん | 作成日時:2017年7月3日 19時

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