702日目コンビネーション ページ14
「やだわァAったらそんな怖い顔して。可愛い顔してるんだから、もっと笑って頂戴よォ。」
そう言ってニタリと笑うレミの笑顔には、相変わらず悪寒を覚える。だがレナの言葉を遮るように、神威はレナめがけて番傘を振りかざしていた。
「…んもー…これだから夜兎は…。」
レナは後退して攻撃を避けると同時に1歩を踏み出した。神威の体が反応するよりも早く、神威との間合いを詰める。
「そんなに食べられたいの?」
神威の蹴りとレナのメスが交差する。瞬間、私はレナめがけて跳んだ。
「ぅあッ…!」
「Aッ!」
先程飛んできたメスをレナめがけて投げ返すと同時に、私の眼球めがけてメスが飛んできた。完全に油断した。一瞬目を閉じただけで、目の前には無数のメスが。
「A!!」
身体中に刺さったメスよりも、レナの頬を殴り飛ばすことに全神経を集中させた。
神威の蹴りはレナの腹に直撃する。
「A。大丈夫なの?」
その声は少し間が抜けていて、『あんな攻撃に当たるなんて馬鹿だなぁ。』とか思ってそうな口ぶりだった。
だがそんな呑気なやりとりも束の間。私たちが気付いた時にはレナは空中に跳んでいた。
「あハッ!殴られちゃったァ…ッ!」
レナの衣服から無数にメスが現れる。一体どれだけの数を隠し持ってるんだ。
私と神威はそれぞれ反対へ跳んだ。メスの雨が神威の逃げた先へと降り注ぐ中、標的が私だと気づいたのはレナが地上に着地してから。
それまでは神威と一定の距離を取りながら私の攻撃を防御していたのに、急にこちらへと跳んできた。その行動があまりにも自然過ぎて、私は一瞬動くのが遅れた。…その一瞬が命取り。
「A!!」
「つぅかまぁえたぁ。」
交わしきれない数のメス。しかもその先端は紫色の液体で濡れている。私が後ろに退くよりも速く、神威の体は私とメスの間に入った。
「油断しすぎでしょ…。」
カムイの体が崩れ落ちると同時に、その影からはレナのメスが伸びていた。
私は退かずにそのまま突きを繰り出した。
お互いにお互いの急所を狙った最速の突き。
私の腕には肉体を貫く感覚と、血の滴る感覚。
メスを握っていたレナの手は、私の背中に回っていた。
「…は?」
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作者名:へたやん | 作成日時:2017年7月3日 19時