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700日目11話 ページ12

私の研究は完成しなかった。
しかしその間に、私の研究によってもたらされるメリットに目をつけた者達が大金を出して支援してきた。
そしていつの間にか、星には大規模な研究施設が建ち、そして、彼女は子を産むと同時に息を引き取った。
悲しいはずなのに、涙は出なかった。苦しいはずなのに、私は声一つ漏らさなかった。
ただ、私は彼女の体をあらかじめ用意しておいた専用の容器に入れ、そして赤子は自分の手元に置いた。

これで実験材料はすべて揃ったのだ。
あとは、この赤子が育つだけ。
私以上に強大な力を持った、この子が育つのを、私はただじっと、見守るだけ。
A。二人で決めた名前だ。

しかし、ただじっと見ているなんて、つまらない。
私はこの子が大きくなった時に簡単に実験が進むように、この子に刺激を与えることにした。
毎日、毎日、毎日、毎日、毎日。
この子がもっと強大な力を得られるように、宇宙中の子を実験台に彼女を育てようとした。
しかし、ある研究員がそれを阻止してきた。
この施設のトップである私に。この子の親である私に。彼女はこう言ってきた。
「この子は私が育てる」と。
なんて滑稽な話だろう。親であるはずの私から子を奪い、さらには自分が育てるだなんて。
なんて道理の通らない話だろうと、普通の者なら怒るところだろう。しかし私は、彼女の意見を受け入れた。
私は赤子を下級研究員の家に預け、育てるように命令した。そして私に口答えしてきた研究員には、7年後に迎えに行けと命令した。そのあとは、あなたが、私の代わりに育てなさいと。
彼女の力が強くなるように。
私の最終目標が叶うようにと。
そして私は数年後に研究施設を去った。
自分の赤子が、どれだけ育っているのか、途中経過を見に。




雨の中、私はあの子に出会った。
土砂降りで地面がぬかるんでいる中、あの子は物陰に座り込んでいた私に声をかけてきた。
「〜〜〜〜?」
あの子が何を言ったのかは分からない。
けれどあのこの子瞳は、その顔立ちは、彼女そのものだった。
ならせめて、彼女の記憶に私という障害物を埋め込ませておくべきか。
そう思った私は、ゆっくりと胸元からキャンディを取り出した。可愛らしいその包装紙にはにつかわないほどの殺気を出しながら。
あのこの目には確かに恐怖の色が映っていた。
これでいい。
全ては、私の計画通り。

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作者名:へたやん | 作成日時:2017年7月3日 19時

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