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625日目吸月鬼篇 ページ37

「たった助けてくれェ‼」
一人の男が、街の中を駆け抜ける。
男は背後から迫り来る影から逃げていた。
得体の知れない恐怖。
男の心は先程とは一転、死の恐怖に締め付けられていた。
ー何故仲間達と一緒に逃げなかったのか。
そう自分を追い詰めるが、今となってはもう全てが手遅れ。
ガッ
不運にも、足元にあった小石に男は躓いてしまう。
ーここまでだ…!
男の脳裏には、走馬灯のように自分の帰りを待つ妻子の笑顔が浮かぶ。
ーどうして、どうしてこんなことに…。
もう影は追いかけてこない。
追いかける必要がないと分かったのだろう。
「ったく、手間取らせやがって…。」
影から漏れる冷たい声に男は聞き入る暇もなく、静かに、自らの死を受け入れた。


「これで2人目か…。」
阿伏兎の言葉に、私は笑ったまま目の前に置かれた死体に目を向ける。
神威はまだ起きていない早朝。
阿伏兎と私は、息を切らした団員によって起こされた。
「…明らかに、普通とは思えないね。」
私は静かにそう言う。
目の前にある2つの屍は、異常だった。
まるでミイラの様に、一滴残らず体内の水分が吸い尽くされていた。
「ったく。どこの奴らの仕業だよ…。」
阿伏兎がため息まじりにそう呟くのをよそに、私はクスクスと笑った。
「それにしても、随分とわかりやすいのね。」
私の言葉に、阿伏兎は不思議そうにこちらを見る。
「…ふふ、いや。この首筋…。」
私はその場にしゃがむと、屍の首筋を持ち上げて、阿伏兎に見せる。
「なっ⁉」
阿伏兎が驚いているのを余所に、私は笑う。
「ふふふ…まさか、こんなあからさまな吸血鬼に会えるなんて…楽しみね。」
屍の首筋についた2つの赤い点。

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へたやん(プロフ) - ショコラさん» 返信ありがとうございます。はい。被害者が少なくて良かったです。←家の中にアブが…!?お気をつけてください。 (2016年8月21日 16時) (レス) id: 08241f2f07 (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - へたやんさん» アブに刺されると痛いんですよね〜;; 被害者が少なくてよかったです(何も良くない←) アブは私の家の中に時々います((( (2016年8月21日 11時) (レス) id: 0a83098121 (このIDを非表示/違反報告)
へたやん(プロフ) - ショコラさん» 返信ありがとうございます。はい。友達は刺されてましたけど、自分は大丈夫でした!← (2016年8月21日 9時) (レス) id: a1906e812c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - へたやんさん» ま、まさかのアブ…!!たしかにいっぱいいますけど!! 大丈夫でしたか?刺されてませんか!? (2016年8月20日 23時) (レス) id: 0a83098121 (このIDを非表示/違反報告)
へたやん(プロフ) - ショコラさん» 返信ありがとうございます。確かに、自然が豊かでした!そして、行く先々にアブが沢山いました! (2016年8月19日 6時) (レス) id: a1906e812c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:へたやん | 作成日時:2016年7月17日 18時

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