嫌いになれない、雨の中で。【ｄ!】 (ページ33)

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素直になれない紫ページ33

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もしかしたら自分が気付いていないだけで、小さく何かを呟いたかもしれないと顔を近づけた時だった。

「…ペ神に、変な薬でも飲まされたのか？」

shp「…はっ？」

突然出てきたしんぺいさんの名前に、少しだけ怒りが湧いた。
だって今は俺とA先輩の2人だけの時間だ。そこに他の男の名前が入ってくるなんて、たとえ相手がしんぺいさんでも赦さない。後で文句言っとこ。あ、もしものことに備えてロボロさんも連れて行くか。あの人しんぺいさんのお気に入りだし。

shp「貸して、言うてるんすけど？」

頭の中に出てきたニッコリと笑いながら迫ってくるしんぺいさんを追い出すために、つい…強い口調で言ってしまった。
咄嗟に謝ろうとしたがわかりやすくビクリと体を震わせたA先輩をこれ以上怖がらせないためにも声を発さないようにした。
自分でも、その選択は間違っていると思う。
けど、どうしても無理なのだ。自分の思っていることを好きな人に伝えるのは。

震えながらも俺に皿を渡してくれたA先輩に心の中で謝り、それを受け取る。さぁ、あとはA先輩の代わりに食器を洗い終われば今日の目標は達成だ。

そう思って袖を捲った時。

rb「ショッピゴラァッ!!!」

勢いよく扉を開けたロボロさんが食堂へ入ってきた。
その様子は明らかに怒っていて、俺に殺意がビシビシと刺さる。

ロボロさんは俺をひと睨みして大股で歩いてきたと思ったら、何故かA先輩の腕を掴んだ。

は？なにA先輩に俺の許可なく触ってんすか。それに加え邪魔もしてきて…

体中が不快感でいっぱいになる。
本当に最悪だ。ただでさえ最低な自分に嫌気が差してイライラしているのに。

shp「…何すか」

負けじとロボロさんに殺意を送りながら嫌々ながらも用件を聞く。するとより一層強い殺意を放ちながらロボロさんが低い声で答えた。

rb「お前、まだ仕事残っとるやろ。こんなんしとる暇あるんならさっさと済ませろや」

…なるほど、監視カメラで見とったな。

俺やなくて、A先輩を。

やっていることが童貞らしくキモイ。マジでA先輩に触んな。
あまりにも度が外れた行為にさらに不快感が増し、舌打ちをする。

shp「…ちっ。べつにいいじゃないっすか。俺はただA先輩に皿を触らせたくなかっただけです。俺達が使う皿なんだし」

べつに悪意があって言ったわけではなかった。文字通り俺達が使う皿だ。その始末は使った本人である俺達がすべきことだと思っている。