素直になれない 赤 ページ23
トントンside
朝、俺は徹夜明けのまま食堂へ向かう。
この時間帯は他の奴らがまだ起きたばっかなので俺が一番最初に食堂に入ることができる。
Aは、いつも朝早くから朝食の準備をしてくれているので俺が食堂に入ると、
「おはよう」
綺麗な琥珀色の瞳を細めながら微笑んで迎えてくれるのだ。
これがマジで、日頃から書類や粛清、内ゲバなどで疲れている俺のことを癒すのだから一日で一番最高の瞬間だと言っても過言ではない。
しかし、
tn「……」
好きな人の前では素直になれない俺は、黙って自分の席に座ってしまう。
こんな態度で申し訳無いと、もう何度も思ったことを心の中で呟いていると、いつもみたいに俺の前にコーヒーが置かれた。
「あんまり無理すんなよ」
しかもAの一言付き。こんなん嬉しすぎるやろ。
俺のことを心配してくれた、俺のことを少しでも考えていてくれていた。
その喜びで舞い上がりそうな俺は内心大慌てしながら
tn「…うっさ」
つい、殺意を込めた声を出してしまった。
おそらく、Aを睨んでしまっただろう。
俺は弁解しようとAを見たが、Aは既にキッチンの奥に行っており、声がかけづらくなる。
徹夜明けだから目付きが悪かった、なんてとんだ言掛かりだ。
諦めて、コーヒーを啜る。と、違和感を覚えた。
…あれ？今日のコーヒーなんかちゃうな。いつも淹れてくれるコーヒーも美味いけど、今日のはめちゃめちゃ美味い。どうしたんやろ？
気になった俺は、勇気を振り絞ってAに声をかけることにした。
tn「…おい、」
自分でも驚くくらい、低い声が出た。
どうして…優しい声が出せないのだろう。好きな人の前だからこそ、優しく声をかけて仲を深めたいというのに。
…ほら、Aが返事をしない。俺が強く言ってしまったから。
『なぁ、Aに話し掛けてるんやで？返事してぇや。声、聴きたいねん』
tn「おいっつってんやけど？」
心の中で思っていることとは裏腹に、俺の言葉はナイフのように鋭かった。
「あっ…ごめん。何だ？トントン」
相手の機嫌を伺うような、優しい小さい声だった。
こちらを見るAの姿が本当に可愛らしくて…視線を逸らしてしまう。
それでも、せっかく返事をしてくれたのだ。答えなければ。
tn「…コーヒー、今日は一段と不味いな」
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名月(プロフ) - ゆきちさん» ありがとうございます！励みになります！ (2020年4月12日 20時) (
レス) id: f9f0c292b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきち(プロフ) - 色んな視点での情景がとても面白いです！お気に入り追加させてもらいました！ (2020年4月9日 12時) (レス) id: 1d6534994e (このIDを非表示/違反報告)
名月 - ねむるさん» あ、どもども!!そうですね、女主っすよ!!これから更新していきますんで!! (2020年2月4日 18時) (レス) id: 4c76c89200 (このIDを非表示/違反報告)
ねむる(プロフ) - ふーん お気に入り追加していくぅ！！！一応確認だけど女主でおk...？()プロローグから好み射抜いてますわぁ......更新楽しみにしてます！！誰かは察してくれ！！！！ (2020年2月4日 18時) (レス) id: f070b83cbf (このIDを非表示/違反報告)
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