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わかっていた。
せっかく神様が与えてくれた試練を、自ら台無しにしたことは。
撮影中、何度もぼう、と意識が遠退く京本。
ジェシーや慎太郎、樹の明るい会話がテンポ良く交わされるものだから、普段から静かめな京本が変に浮くことはない。
撮影も、一度も中断することなく終えた。
しかし、アイツが体調を崩していることくらい、メンバーは全員気付いていただろう。
全部、俺のせいだ。きっと。
昨日、あのまま、一人で置いていかなければよかった。
余計な思考を巡らす前に、体調を考えてやるべきだった。
いっそのこと、無理にでも家に連れて行けば良かった。
そうすれば、コイツが風邪を引くこともなかったのに。
京本のおでこに手を当てれば、じんわりと広がる熱。
恐る恐るこちらを窺う瞳がいつも以上に潤んでいて、どく、と脈が速くなるのを感じた。
それでも京本は、特に気にする様子もなく「風邪かあ、」なんて他人事のように呟いた。
仕事を疎かにしたくないタイプの男だ。おそらく、わざと自分の体調の変化に気づかないようにしていたのだろう。
まったく、仕事熱心なのも考えものである。
どうか、無理だけはするな。
という気持ちを込めて、「何かあったら言えよ」と言葉を紡いだ。
俺と京本は、不仲だ。
だから、楽屋で目的以外話すこともほとんどない。
だから、あの後も、あれ以上深く話すことはなかった。
二回目の撮影も無事終え、陽が傾き始めた頃。
この後予定があるらしい高地と樹、それに続くようにジェシーと慎太郎が楽屋を後にした。
残される俺と、京本。
だが。
一体どうしたものか。
ソファで小さく体を丸めて熟睡する京本を眺めて、俺は溜め息をついた。
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白梅(プロフ) - なぺこさん» なぺこさんコメントありがとうございます！嬉しい言葉がたくさん、、！不定期更新ですが、ぜひこれからも応援よろしくお願いします！ (2019年6月3日 16時) (
レス) id: ff41a5aa52 (このIDを非表示/違反報告)
なぺこ(プロフ) - とても面白いです！文章から、その時の情景がすごく伝わってきて読みやすいです！！好きです！応援してます！！ (2019年6月2日 22時) (レス) id: 7d886639bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白梅 | 作成日時：2019年5月15日 18時
