検索窓
今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:66,918 hit

第87話 一件落着 ページ40

「…ここは?」
「…中也? ヴッ!?」
「Aッ! 本当に、Aと大我なんだな!?」

 ローブに身を包み、仮面を外した婚約者にどうにか肯定の言葉を出したいが、喉元にラリアットをキメられて、大我共々声を出せずにいる。そして、彼の背後に北川と状況を(かんが)み、中也が資料と手紙を呼んで、期日に合わせて準備したのだと確信できた。

「はい、そうですよ。中原さん」
「記憶を奪取してくれてありがとう。中也」
「おう」

 愛しい人はばしばしと双方の背中に回した手で叩き、帰還を言葉少なに(たた)えてくれたが、安堵の溜め息をついたかと思えば、冷めた視線を北川にやる。その温度差に、一般人の大我と北川が今にも死にそうな表情をしていた。

「これで手前(テメェ)の役目は終わったが、未だ殺す訳にはいかねェ。日本に帰国するまで、あと2日。それが、人生の期限だ」
「…ハイ」

 あたし達を誘拐した男は、余命宣告を受けて顔面蒼白になっていた。

「A。大我。此奴(コイツ)に、余計な行動を取らねェように、見えない首輪みたいな物を着けられるか?」
「…僕は、あまり異能使うの得意じゃないんです。A姉さんが妥当じゃないですかね?」
「そんなに難しくないよ。透明の首輪を想像すればいい。あたしが効果を付与するから」
「…わかった。やってみる」

 大我の場合は、道向かいが鳳凰神社なので鳳凰様に気軽に会える機会も立場も多々あるが、人を縛り付けるやり方は性に合わないらしく、中也の真似をしてお洒落(しゃれ)なチョーカーを透明化で具現化したらしい。あたしは、それに『我々に逆らえば、首を絞め上げる』異能の効果を付け足した。

「終わったよ。中也」
「よし。祝い酒を開けに行くぞ! 俺の(おご)りだ」
「ありがとう」

 親しい者以外から奢られるのが初体験の大我と、礼を述べる自分。恐縮しきる北川を引き連れて、有名なサイトで見つけたレストランで、最高の昼食を堪能後、観光と夕食を楽しんだ。


 自分が通学していた大東亜学園の大先輩である方が、長年勤めていた紹介と厚意で宿泊している、五つ星のマイルストーンホテルで、あたしと大我は同室だった。中也は、北川の監視のために同室にしていると言っていた。

「僕、イギリスに来るの初めてだよ。A姉さんは?」
「仕事で何度かね。その時、大先輩達に出逢ったんだ」

 明日は日曜日。中也が立てた予定では、土産を選びに行く日らしい。

第88話 おかえり→←第86話 裏競売



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (65 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
152人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , イケメン女子   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

エミリア1415(プロフ) - 薫染-ゆきせ-さん» 薫染ゆきせさん、コメントと応援。ご指摘ありがとうございます。意味を間違えて使っていました。教えて頂き、ありがとうございます。すぐに修正しますね。更新も頑張ります。 (2019年8月25日 21時) (レス) id: 82aefb6635 (このIDを非表示/違反報告)
薫染-ゆきせ-(プロフ) - 此れからも更新頑張って下さい!2枠続けてのコメント失礼しました。あと 言葉運びが意図的なものだったらすみません! (2019年8月25日 20時) (レス) id: e1459da1b7 (このIDを非表示/違反報告)
薫染-ゆきせ-(プロフ) - 何時も楽しく読ませて貰ってます!89話の中の台詞についてなんですけど…内容的に「満身創痍」ではなく「五体満足」の方があっていると思いますよ。あの台詞だと「全身傷だらけで良かった。」みたいな意味になってしまうので…可也 上から目線ですね。すみません (2019年8月25日 20時) (レス) id: e1459da1b7 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - 銀桜さん、コメントありがとうございます。少しでも話を進められるように、更新頑張りますね。 (2019年8月22日 17時) (レス) id: 82aefb6635 (このIDを非表示/違反報告)
銀桜(プロフ) - あぁ、夢主ちゃんと大我くんが元に戻って良かったです。更新頑張ってください! (2019年8月22日 17時) (レス) id: 1194b2a018 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:エミリア | 作成日時:2019年6月30日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。