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第66話 参拝 ページ19

『2日間、お世話になりました』
「うん。2人共、またおいで。待ってるからね」
「千葉の郷土料理で良かったら、Aの分と一緒にいつでも送るよ」
『はい。ありがとうございます』

 10年前に神主の座を息子に譲り、同居する孫達の世話に忙しい(ひい)爺さんと曾婆さんが、態々(わざわざ)門前まで見送ってくれた。でも、俺は、ある疑問を捨てきれずにいる。

「そう言えば、他にも子供達がいるんですか? 昨日の昼に、笑い声が聞こえてきたんですけど…」
「子供達?」

 老夫婦は『はて…?』と顔を見合わせ、(いぶか)しげな表情を見せる。

「昨日の昼は、遊びに出ていたわ。二人の出迎えの準備で忙しかったけど、子供だからね」

 これで、亡くなった子供達の声がしていたとか言われたら、あまりの気味の悪さに身震いしていたのかもしれない。しかし、親戚達の子供達で間違いじゃないと踏み、内心安堵のため息をつく。

「これも何かの縁じゃ。道向かいの鳳凰神社に寄って行きなさい。中也さんとAの縁が結ばれて、恋愛が成就した記念にね」
「はい。わかりました」
「今から参拝してきます」

 再度一礼して別れ、背広(スーツ)姿と、ワンピースに薄手のジャケットを羽織った姿で参道を通る。血も涙も無いポートマフィアと言われているが、年始に各自任意でお参りし、神頼みするくらいは習慣があるので作法も心得ていた。


 元・神主が云った縁結びと恋愛成就の御利益と、日曜日と云う事もあって、境内(けいだい)には参拝客(ほとんどが男女の二人組)がそこそこ居る。だが、俺達は、別の人物に視線がいっていた。

「…なァ、A。鳳凰様が()えるのは、俺の見間違いか?」
「いや。あたしにもはっきり視えるよ」
「だよな。異能相手に話しかけるのは妙な感覚だぜ」

 本来なら拝殿の奥にある本殿で(まつ)られている(はず)の存在が、参拝客相手に巫女と神主に紛れて、社務所で齷齪(あくせく)働いていた。

《おや、中原ではないか。もう帰るのか?》
「はい。…いや。そうじゃなくて──」

 極力声量を落として、どうにか彼にツッコむ。

(なんで、此処に祀られてる異能が働いてるんですか!?)
《うん。多い休日などは、こうして手伝う事がある。じっとしているのが嫌いなんだ》
《直接接したほうが、人となりが解るでしょう?》

 快活に笑い飛ばす彼らに、俺は笑顔の裏で『理解不能だ』と潔く匙を投げた。

第67話 首領の許し→←第65話 遊び相手



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , イケメン女子   
作品ジャンル:恋愛
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エミリア1415(プロフ) - 薫染-ゆきせ-さん» 薫染ゆきせさん、コメントと応援。ご指摘ありがとうございます。意味を間違えて使っていました。教えて頂き、ありがとうございます。すぐに修正しますね。更新も頑張ります。 (2019年8月25日 21時) (レス) id: 82aefb6635 (このIDを非表示/違反報告)
薫染-ゆきせ-(プロフ) - 此れからも更新頑張って下さい!2枠続けてのコメント失礼しました。あと 言葉運びが意図的なものだったらすみません! (2019年8月25日 20時) (レス) id: e1459da1b7 (このIDを非表示/違反報告)
薫染-ゆきせ-(プロフ) - 何時も楽しく読ませて貰ってます!89話の中の台詞についてなんですけど…内容的に「満身創痍」ではなく「五体満足」の方があっていると思いますよ。あの台詞だと「全身傷だらけで良かった。」みたいな意味になってしまうので…可也 上から目線ですね。すみません (2019年8月25日 20時) (レス) id: e1459da1b7 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - 銀桜さん、コメントありがとうございます。少しでも話を進められるように、更新頑張りますね。 (2019年8月22日 17時) (レス) id: 82aefb6635 (このIDを非表示/違反報告)
銀桜(プロフ) - あぁ、夢主ちゃんと大我くんが元に戻って良かったです。更新頑張ってください! (2019年8月22日 17時) (レス) id: 1194b2a018 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エミリア | 作成日時:2019年6月30日 13時

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