第８話 首領とくの一 ページ10
「一晩、暗い場所へ押し込めてしまったね。申し訳ない」
笑うは、ポートマフィアが長・森鴎外。
「いえ。あの様な場所には慣れておりますので、お気になさらず」
「では、本題に入ろう。何故、私の電話番号を知り、本部が此の高層ビルだと知っているのだね？」
生乾きのスーツに手錠を掛けられたままの女性・榊Aは、怖じ気づく事もなく、淡々と告げた。
「番号は、雑多な情報の一つ。必ず、どこからか漏れるものでしょう？ 忍の情報網ならば、いかなる偽装工作にも欺かれません」
「…ほう。偽装か。此れは、貴女の眼に如何映るのか、見物だねェ」
数枚の写真の被写体は、私も見慣れている無惨な射殺体。だが、対象は、幼い子供と、生後間もない赤ん坊だった。
「情報網も、お宅と引けを取らない。貴女は、被写体をよく知っている」
首領からの殺気に身が震えるが、榊一族の彼女は、カラー写真を見比べるだけで、何処吹く風だ。
「うずまきナルトと、榊良平。君が大事に育てている子供達だよ。特に、赤ん坊は実子。初子で長男か。さぞ、手塩にかけて、可愛いがったんだろうねェ」
言葉と精神的な暴力に、母親なら現実を受け入れられず、嘆き悲しむものだが、彼女は違った。
「いやァ。完成度の高い合成写真ですな」
鼻で笑い、床に其れをばら撒く。
「…この程度の脅しは、今まで幾度も受けて来た。真実か否か、この眼で見りゃ判る」
彼女の瞳が、不気味に紅く変色していた。
「忍を侮辱するのも大概にしとけ」
ばたりと、扉の向こうで誰かが倒れた。
「貴方は、この裏社会で必要な人。手を出さない代わりに、彼女の命を貰う」
「彼女…？」
背後の扉が、勝手に開いた其の先。見張りの人が介抱するのは、北川葛本人。
「あれは、あたしの実母だが、邪魔者でしてね。勝手ながら、始末させて頂きました。貴方にとっても要らない人だったんでしょう？」
首領の高笑いが、最上階のビルの一室に木霊する。
「…嗚呼。こんなに声をあげて笑ったのは久方ぶりだよ。君は、矢張北川君の娘だ。その残虐性、私も評価する。如何だね？ ポートマフィアに招待しよう」
「謹んでお断り致します」
首領の誘いを堂々と、即刻断るなど、とても私には出来ない。仮にしようものなら、文字通り首が飛ぶ。彼は、怒るどころか笑って許し、彼女を『エリスちゃんと夢野久作。二人と一緒に遊ぶ』という条件付きで解放した。
樋口一葉に、もう一人、憧れの人が出来ました。
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エミリア1415(プロフ) - にゃんこさん。コメントありがとうございます。魅力的に書けるように頑張ります。 (2021年1月15日 15時) (
レス) id: 82aefb6635 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - 芥川大好き。龍チャン愛してる。 (2021年1月15日 13時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - 白狐さん» 白狐さん、コメントありがとうございます。更新できるように精進しますね (2018年12月16日 17時) (レス) id: c808353d76 (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - あー、最高。全てが好き。更新頑張ってください。僕の為にも((( (2018年12月13日 23時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - ありがとうございます。頑張りますね。 (2017年4月9日 15時) (レス) id: 738ed6759e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミリア | 作成日時：2017年3月12日 22時
