検索窓
今日:5 hit、昨日:9 hit、合計:28,496 hit

第6話 予知夢 ページ8

「嗚呼。胸糞悪いっ」

 何故、自分に巫女の血が流れているのか。

 普段は疑問に思った事はないが、2日続けて視るのは厭だ。しかも、それら全てが血生臭い出来事。

 社員の誘拐。異能力者による三つ巴戦争。長の命を救う為、二つの組織が争う。

 昨日、自分の予知夢に基づいて、ポートマフィアの長・森鴎外と、武装探偵社社長・福沢諭吉に、それぞれ直接電話した。

「榊A君。困るよ、キミ! 勝手な事しないで欲しいな」
「は?」

 遠回しの表現をするなら、恰幅の良い体。直接的な表現なら、デブ。なんでこんなヤツが、あたしの上司なんだと人事部の人に問い詰めたいが、業務中はそれを押し殺す。

「武装探偵社ならまだしも、なんでポートマフィアの連絡先知ってて、電話かけたの!? こっちに奇襲かけられたらどうするのさ!?」

 転属して1週間経ち、小言を言われ続け、ついに堪忍袋の緒が切れた。

「黙れ、万年中忍デブ野郎。我々は忍だ。敵が来ても迎え撃つのみ。まして、ポートマフィアとは一触即発なのは百も承知。だが、この横浜が、第三者の手によって火の海になるより良いだろ?」
「なっ…!」
「ポートマフィアに怖じ気づく小心者は、火影社に要らない。武器を手に取る限り、死と隣り合わせなのは、貴方も忍であれば重々理解しているはずですが?」
「……」
 その折、昼休みを告げる音が鳴り、一礼して退室した。


「…また爆発か」

 昼食は摂らず、独りで海を眺める中、不快な音がはっきり耳に届く。
 貨物船の横に小型の船が着けているのが遠目に見えて、何かが水しぶきをあげて落ちた。柵を乗り越え、海上を走り、数秒で目的地に辿り着く。小型の船を操縦しているのは、国木田さんだった。

「貴女の予知に感謝する」
「お役に立てて良かった」
「では、失礼」

 互いに別れて、十分に酸素を肺に送り、足裏にチャクラを練るのをやめ、服が濡れるのも構わず、海に潜る。冷たく、暗く、深い海中で、沈んでいく夫を探す。

 黒外套が、指先に触れた。

 それを掴んで抱き寄せ、片手を上下させ、脚をばたつかせて水面を目指す。

「…ぶあっ!」

 貨物船が、こちらに覆い被さるようにゆっくり傾き始めていたが、焦る事はない。空いている左手の平にチャクラを練り、海面を地に見立て、腕力と全身のバネで海に上がる。気絶している龍を背負い直し、濡れた背広のまま、街を闊歩し、あるビルに着いた。

「お届け物です」

 先日応戦した金髪美女が驚いていた。

第7話 捕縛と二人の女→←第5話 対策



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
68人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 芥川龍之介 , NARUTO   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

エミリア1415(プロフ) - にゃんこさん。コメントありがとうございます。魅力的に書けるように頑張ります。 (2021年1月15日 15時) (レス) id: 82aefb6635 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - 芥川大好き。龍チャン愛してる。 (2021年1月15日 13時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - 白狐さん» 白狐さん、コメントありがとうございます。更新できるように精進しますね (2018年12月16日 17時) (レス) id: c808353d76 (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - あー、最高。全てが好き。更新頑張ってください。僕の為にも((( (2018年12月13日 23時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - ありがとうございます。頑張りますね。 (2017年4月9日 15時) (レス) id: 738ed6759e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:エミリア | 作成日時:2017年3月12日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。