第19話 芥川家の一日(午後) ページ21
「ふぇああっ!!」
せめて言葉を喋ってくれればと思うが、床に寝転がっている赤子は、先程からただ泣き叫ぶだけで父親に何をして欲しいのか全く判らぬ。
「A。どうすれば良い?」
「あー。眠たいから愚図ってるんだよ。抱っこの仕方は、さっき教えた通りにすればいい」
おそるおそる首の下に片腕を回し、背中から臀部まで左腕で支える。これで両手がふさがってしまったが、左手で背中をポンポンと優しく叩いていくうちに、鳴き声が次第に小さくなり、寝息をたてて眠った。
「…それで、本当にいいの?」
「何度言わせるつもりだ」
「ごめん。じゃあ、行ってきます」
『行ってらっしゃ〜い』
ナルトとQが、Aと銀を見送る。午後は、2年間子供に構いっ放しだった妻にひとときの休暇を与えた。それが、今の
(じゃあ、俺達はA姉ちゃんのお手伝いやるってばよ。久作も、いっしょにするよな?)
(うん)
我が子である良平を起こさぬよう、二人の童は声を潜めて会話し、作業に取りかかる。それを見て、赤子用の寝台に寝かせようとしたが、寸前で再び起きて泣いてしまった。いったい、小さな身体から耳鳴りがするほどの大声が出るのか、理解に苦しむ。
「……」
「あ。龍兄ちゃんは、ソファーで座ってていいから」
「それでは何も出来ぬ」
「え? 良平を寝かせられるじゃん。今日の兄ちゃんの任務は、それだけだぜ。なー? 久作」
「そうそう。おとなしく座ってくれたほうが、僕達の邪魔にならないよ」
幼子に諭される形で、そこから家事を見るしかない。
「ナルト、Q。変われ」
『ダメーッ』
脚立を使い、協力して台所で皿洗いを済ませ、洗濯物を取り込み、服に
「…ふぁあ…」
「やっと起きたか」
息子の目尻に浮かんだ涙を指先でぬぐってやり、小さな腹から空腹を訴える音が聞こえた。
赤子用の椅子に良平を座らせると、『早く寄越せ』と言わんばかりに両手で食卓を叩く。台所の引き出しから菓子を探すだけの短い時間だが、精神的な疲労が積み重なり、叱ろうとした矢先に、きちんとナルトが息子に説教した。
「こら、良平。たたいちゃダメだってばよ!」
「うぁあっ!!」
「良平。菓子だ」
「んまっ!」
一喜一憂する姿に、
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エミリア1415(プロフ) - にゃんこさん。コメントありがとうございます。魅力的に書けるように頑張ります。 (2021年1月15日 15時) (レス) id: 82aefb6635 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - 芥川大好き。龍チャン愛してる。 (2021年1月15日 13時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - 白狐さん» 白狐さん、コメントありがとうございます。更新できるように精進しますね (2018年12月16日 17時) (レス) id: c808353d76 (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - あー、最高。全てが好き。更新頑張ってください。僕の為にも((( (2018年12月13日 23時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - ありがとうございます。頑張りますね。 (2017年4月9日 15時) (レス) id: 738ed6759e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エミリア | 作成日時:2017年3月12日 22時