プロローグ ページ2
「ん! よく来たね!」
眼前で微笑む彼は、かつての四代目火影・波風ミナト。
「…と、歓迎したい所だけど、そうもいかない」
かつてのミナト班の班長で、恩師にあたる人だ。すぐに真剣な顔になり、こちらも気が引き締まる。隣に立っているナルトは口を固く結び、息子の良平は、抱っこ紐の中で眠っている。
「簡単に説明すれば、ここは、我々、木の葉や他の隠れ里の人間にとって、死後の世界だ。よって、生きている人間。つまり、君達がこの世界に来た時点で、既に国家機密を犯している」
「…すみません。すぐ帰ります」
「え!? A姉ちゃんが帰ったら、龍兄ちゃんとの約束はどうするんだってばよ?」
口論に発展すると判断したミナト先生は、こう切り出した。
「でも、Aは、こちらの世界の人間と結婚しているし、榊一族で、初めて成人まで生き延びた人だからね。ここに来て良い特例法案もある」
その言葉の羅列に、あたしの思考は一時的にフリーズした。
「此の世界に居ても良いって事。ナルトの事情も把握しているしね」
「俺の事、知ってるのか?」
「もちろん。三代目から聞いているよ」
そこで、火影室の扉が数回ノックされる。
彼から了承を得て入室したのは、旧姓・うずまき。現・波風姓のクシナさんだ。
案の定、ナルトを見て硬直したが、彼女の涙腺は緩まなかった。
「この子は…?」
「おばちゃん、誰?」
「もう一回言ってごらん?」
あたしは、この掛け合いを複雑な表情で見ていた。
ナルトの本当の両親は目の前に居るのに、彼らは我が子を抱き絞めるのを、ぐっと
アカデミー入学直前のナルトをひとしきりいじった後、クシナさんが尋ねる。
「この世界には、何ヵ月居るの?」
「夫に我が子と接してもらえるまでです。簡単に会える立場ではないので、明確には…」
「最初の一ヵ月は、こちらの世界の歴史や情勢を学んだ後、横浜に行ってもらおうかな」
「え? なぜ、彼が横浜に住んでいると判ったんですか?」
「僕が、彼に変化して、戸籍を取り寄せたから。違法だけどね」
衝撃発言をよそに、波風家に一ヵ月だけ居候する事になり、この期間中、それなりの仕事を得、報酬も頂く事になる。
こうして、異世界の島国・日本。『火の国』と呼ばれる、熊本での生活が始まった。
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エミリア1415(プロフ) - にゃんこさん。コメントありがとうございます。魅力的に書けるように頑張ります。 (2021年1月15日 15時) (レス) id: 82aefb6635 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - 芥川大好き。龍チャン愛してる。 (2021年1月15日 13時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - 白狐さん» 白狐さん、コメントありがとうございます。更新できるように精進しますね (2018年12月16日 17時) (レス) id: c808353d76 (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - あー、最高。全てが好き。更新頑張ってください。僕の為にも((( (2018年12月13日 23時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - ありがとうございます。頑張りますね。 (2017年4月9日 15時) (レス) id: 738ed6759e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エミリア | 作成日時:2017年3月12日 22時