Episode 4 ページ5
【監督生視点】
エース達といつものように食堂に昼ご飯を食べに足を運んだら、フロイド先輩が駆け寄ってきた。
この間のオバブロ事件からよく絡んでこられるようになった。変なあだ名付きで。
「小エビちゃんって投げたらびゅ〜んって飛んでっちゃいそう」
意味不明なことを口にしたフロイド先輩はそれはそれは愉しそうに、僕を放り投げた。
………はっ！？放り投げた！！？？
気が付いた頃には僕の身体は壁にぶつかっていて近くにいた綺麗な人が僕を見下ろしてた。
えっと、あ。確かジョリーロジャー寮の寮長だ。クラスメイトの子が文句を言ってたのを耳にした記憶があるような無いような……。
痛む背中を押さえながら立ち上がろうとしたらフロイド先輩が突進してきたので起き上がれずに、A先輩の方を見るも、もうそこに彼の姿は無かった。
とりあえず近くにいたジェイド先輩にフロイド先輩を引き剥がして貰うようお願いした。
「何も本当に投げることなくないですか！？」
「ごめんって〜そんなに怒らなくてもいいじゃん」
「いや誰でも投げられたら怒りますって」
「だから謝ってるじゃんか〜」
エースが加勢してくれたが、仕方なく謝るだけで絶対反省してない。まあ怪我を負ったわけでもないし別にいいんですけど。ただめっちゃ痛かったです！！！
「あれ、監督生さん。肩に毛が付いてますよ」
「あっありがとうございます」
ジェイド先輩が僕の肩から掬った髪は、僕の髪の毛の何倍もの長さで。見るからに僕のものでは無かった。
エースは赤いしデュースは青だ。ついでにリーチ兄弟の髪色でもない。
黒かったのでサイドの髪の毛だと思いフロイド先輩に屈んで貰って合わせてみるも、全然僕の持ってる髪の方が長かった。
えっ、だれの毛？？？
「この長さ、Aしかいねぇじゃん」
「確かにそうですね」
「でも僕、彼とはぶつかってすら無いのに、なんで髪の毛が？？」
「…………なんででしょうね」
結局なんで僕の肩にA先輩の髪の毛が付いたのか謎も解けぬまま、次の授業が始まりそうだったので教室に戻ることになった。
エースとデュースとグリムは先ほどのことをもう綺麗さっぱり忘れて次の授業の話に花を咲かせているけれど、僕はどうしても頭の中からA先輩の顔が離れなかった。
その日の夜―――
何やら小さな男の子が空を飛んでいる夢を見た。すごく楽しそうな夢だった。
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作成日時：2020年8月12日 2時
