その男、情報屋。 (ページ5)

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case1-4 ページ5

「担当はお前だったか、穿地」
「久しぶりだね。」
『相変わらず小難しい顔してるな、決。』
「お知り合い？」
慣れたような俺たちのやり取りに四ノ宮由希子が語りかけてくる。

「慣れない酒に酔って俺の下宿先のトイレに顔を埋めてる頃から知ってる」
「大学のゼミ仲間だったんです」
『御殿場飯好き仲間』
「ただの知り合いです。」
「だ、そうです。」
俺らの言葉を全てバッサリ切り捨てる決に俺は肩を竦める。

「後はこちらにお任せ下さい。」
そう言って四ノ宮由希子に席を外すさせると俺らに素の口調で話しかける。

「で？事件の内容を聞いた探偵の意見は？」
「さあ？現場を見せてもらわないことにはなんとも。」

そこから決と倒理の嫌味の言い合いが始まった。

(まぁ、俺は基本的に現場からの情報は要らないんだけどな。)
2人の言い合いを聞き流してると話がついたようだ。

決は妥協案として2人を10分現場に入れることを許可した。

「A、お前もこい。」
『は？俺は現場からの情報は、』
「いいから来い。」
傍若無人な倒理を言い負かす事は出来ないか。
「いざとなればAがこの2人を引きずり出せ。」
『善処はするけど、約束はしないからな。』

決に続いて、階段を登ったすぐの部屋。
四ノ宮英夫のアトリエだ。

「素人の塗装だな。」
「塗ったのは被害者本人？」
「3日前に。気分屋で創作に行き詰まると塗り替えてた。」

俺は綺麗な床に目を落とした。
(綺麗すぎる、か？)

部屋に入ると小太りの見慣れた男小坪清太郎が嫌そうに顔を歪めた。そんなのには構わず倒理はおうと一言手をあげ、氷雨は「現場を見させていただきます。」と礼儀正しく言った。