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「川西くん！ こっち！」
私服姿の彼女はやっぱり可愛い。
あの学校でのそこはかとない地味さはなんなのだろう。
学校でも可愛くしていればいいのにと思わんでもないが、学校では敢えて地味にしているのかと聞けば校則を守っているだけだと言われた。
単に真面目なのだろう。
「星を見に行こう」と変化球な誘いをされて流石に俺も戸惑ったし困った。
何せ相手は先日知り合ったばかりの女子生徒で、特段親しいわけでもない。
そして何故誘う相手が俺なのかというシンプルな疑問。
聞き出そうにも聞き出せず、狼狽えているとチャイムがなってしまったので彼女は「後で連絡するから考えておいて」とひらりと手を振って行ってしまった。
一体なんなのだろう。
何だかぶんぶん振り回されているような気がするし、彼女は一体俺をなんだと思っているのか。
悶々としながら授業を受けて、昼休みに携帯を開いた時に一通の通知に気づく。
連絡先を交換してから、いくつかやり取りをしただけのSMSのトークルームに新しい吹き出しが現れていた。
「……彗星？」
なんでも何十年に一度の彗星がちょうど明日観れるそうで、それを一緒に見て欲しいと言う。
いや、それにしてもなんで俺？ 彼女のことは可愛いとは思うし、悪くないなとは思うけど、それにしたってなぜ。
俺は聞くに聞けなかった質問をメールでしていいものなのか迷いに迷って、結局打ち込むことは出来なかった。
「ああ、なんか珍しい彗星が明日観れるらしい」
「へえ、賢二郎興味あんの？」
「ない。ニュースでやってただけ」
「あ、そう」
一緒に昼を食べていた賢二郎が、「太一こそ彗星なんて興味あんの？」と聞くので事の顛末を話して聞かせた。
「……は？ 土曜日にほぼ初対面みたいなもんなのにいきなり誘われたの？」
「うん」
「なんだそれ。お前のこと好きなんじゃねーの」
「…………えっ」
「えっ」
いやいやないだろ、と首を振るが、賢二郎が指摘したそれは真っ先に無いと切り捨てた選択肢で。
だって土曜日に初対面で、好きになるとかある？ お世辞にも俺は一目惚れして貰えそうな容姿はしていないはずだ。
そんなことはありえない。
うーん、どうしよう。
メールには返事を返せないままで、俺は腕を組む。
嫌なら嫌だと言ってくれ、と彼女は言っていたが、別に彼女の誘いが嫌な訳では無いんだけど。
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つばき - 川西のお話、鳥肌が立ちました。陰のある恋をしてほしいっていうの、同意します…！ (2021年2月14日 10時) (
レス) id: f1e42d3762 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - リムさん» ありがとうございます！ 頑張ります (2019年12月30日 22時) (レス) id: b9479cbc1c (このIDを非表示/違反報告)
リム - 赤葦の物語とっても切なくて涙が止まりません・・・泣 これからも頑張ってください! (2019年12月22日 2時) (レス) id: 7cc2098249 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - 天祢さん» そう言っていただけてうれしいです！個人的にも川西くんのお話が好きなので、刺さってくださる方がいて良かったなあと思います。更新を楽しみにして頂けるとうれしいです。コメントありがとうございました！ (2019年12月14日 15時) (レス) id: b9479cbc1c (このIDを非表示/違反報告)
天祢 - 読ませていただきました!勿論全部のお話が素晴らしかったのですが、元々最推しなのもあって川西くんのお話が特に良かったです。深いなぁ…と思いました。更新頑張って下さい!楽しみにしています(^-^) (2019年12月13日 21時) (レス) id: dfbff6b887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桔梗 | 作成日時：2019年11月16日 13時
