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彼女は柳眉を垂れ下げて、白い頬をちょっと染めて、「いきなり話しかけてごめんなさい」と頭を下げた。
「私も白鳥沢で！ あ、えと、二年生の星野Aと言います。えっと、あの、一組で」
「ああ……えっと、ごめん。星野……さん、のこと俺知らなくて」
「え！ いや、その、同じクラスになったこともないし、私が一方的に試合とか廊下でよくお見かけしていただけなので……！」
同い年だというのに堅苦しい敬語の彼女はやっぱり見覚えがなくて、こんなに可愛い子が同じ学年に居ただろうかと首を捻る。
「あ、そうなんだ」
「はい。……川西くんもテスト勉強ですか？ バレー部で忙しいのに大変ですね」
「まあ……そんなとこ」
彼女が俺の座っていた席のテーブルを見やってそう言った。
白鳥沢高校は昨日からテスト一週間前で放課後の部活動も全面禁止になっている。
スポーツ推薦で来た高校とはいえ、超進学校の白鳥沢では成績不振が許される訳無い。
残念なことに。
だからこうして休日にわざわざ大人しく喫茶店まで赴いて、教科書とノートを広げているわけなのだが。
この目の前の彼女もそうなのだろう、ちらりと見やった彼女が座っていたらしい席には俺と同じようにノートや教科書が広げられている。
「ていうか、なんでずっと敬語？ タメでいいよ」
「えっ、あ、そう、だよね……うん、なんか、緊張しちゃって」
「……緊張？」
「いや、うん。なんか、川西くんって一軍だし」
「一軍……？」
「なんでもないの！ 気にしないで！」
彼女は慌てたように手を振ったきり黙ってしまい、俺は首を捻るばかりであった。
うーん、ほぼ初対面だけれどこの沈黙はキツい。
どうにかして会話の糸口を探りたいが、生憎と女子が興味を持ちそうな話の引き出しは持ち合わせていなかった。
賢二郎ならこのまま彼女のことなど気にせずにさっさと勉強に切り替えるのだろうが、俺はそんな真面目でもない。
手持ち無沙汰にシャーペンを弄び、どうにかこうにかこの沈黙を破ろうと考えるが、元からそんなに口数も多くないしコミュニケーションが得意かと聞かれれば否だ。
さてどうしたものか。
「……あの！」
「え、はい？」
「えー……と、嫌だったら嫌って言ってください」
「はい？」
「あーその、連絡先、交換しませんか……」
突然過ぎてビックリした。連絡先は交換した。
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つばき - 川西のお話、鳥肌が立ちました。陰のある恋をしてほしいっていうの、同意します…！ (2021年2月14日 10時) (
レス) id: f1e42d3762 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - リムさん» ありがとうございます！ 頑張ります (2019年12月30日 22時) (レス) id: b9479cbc1c (このIDを非表示/違反報告)
リム - 赤葦の物語とっても切なくて涙が止まりません・・・泣 これからも頑張ってください! (2019年12月22日 2時) (レス) id: 7cc2098249 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - 天祢さん» そう言っていただけてうれしいです！個人的にも川西くんのお話が好きなので、刺さってくださる方がいて良かったなあと思います。更新を楽しみにして頂けるとうれしいです。コメントありがとうございました！ (2019年12月14日 15時) (レス) id: b9479cbc1c (このIDを非表示/違反報告)
天祢 - 読ませていただきました!勿論全部のお話が素晴らしかったのですが、元々最推しなのもあって川西くんのお話が特に良かったです。深いなぁ…と思いました。更新頑張って下さい!楽しみにしています(^-^) (2019年12月13日 21時) (レス) id: dfbff6b887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桔梗 | 作成日時：2019年11月16日 13時
