潮騒～Sound of Waves～ 3 (ページ35)

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117 口移しページ35

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「Aちゃん」

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メイちゃんに呼ばれて私が顔を上げると、メイちゃんは私の目をじっと見つめて、いつになく神妙な顔つきになる。

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「Aちゃん、私はね、本当に大切な友達に対して気休めでこんなこと言ったりしないよ？

もし私が本当に、にのくんがケイコさんのことを好きだと感じてたとしたら。…そしたら残酷だけど、私はAちゃんにそう伝えると思う」

「メイちゃん…」

「だからね、今から話すことは、もしかしたらAちゃんにとってはショックなことかもしれないけど。でも、大野さんのためにも知っておいた方がいいと思うの」

「え、智？」

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突然、メイちゃんは何を言い出すんだろう。

智の名前が出てきたことに戸惑いを隠せない私は、ドキドキしながらメイちゃんが話し始めるのを待った。

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話を聞いて、予想外のことに頭がクラクラする。

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だって！！

智が、私に口移しでポカリを飲ませたとか、嘘でしょ？

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聞いてないもん！！

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「…智、そんなこと私に一言も言わなかった…」

私がそう言ってガラスのローテーブルの上に突っ伏すと、メイちゃんはクスクス笑う。

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「言うわけないよ。っていうか言えないんじゃないかな、照れ臭くって。

私ね、あの時のにのくんと大野さんを見てたら、すっごくドキドキしちゃった！！」

「…ドキドキ？なんで？」

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私が少し顔を上げて聞くと、メイちゃんはよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりにニヤニヤと笑いながら私ににじり寄ってきた。

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「だってね！！大野さんがAちゃんに口移ししたのがね、なんかもうほんとに素敵だったの！！

キャーーー！！チューしてるーーー！！///って叫びそうになるの抑えるので私必死だったんだから。笑

あれで私確信したの。大野さん、絶対Aちゃんのこと本気で好きだよ。

本人は自覚してるのかわかんないけど、絶対そうだと思う。

Aちゃんにとっては大野さんとのその口移しがファーストキスになるわけだからちょっとショックかもしれないけど、私はすごくいいなぁって思ったよ！！

もしAちゃんが嫌なんだったら自覚のない口移しなんてキスの内に入れなければいいのよ。これからちゃんとしたやつをにのくんとすればいいんだから！！」

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そう言って、メイちゃんは上気した頬っぺたを両手で押さえながら、さらにキラキラと目を輝かせた。