潮騒～Sound of Waves～ 3 (ページ28)

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110 蘇る感覚ページ28

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にのくんと二人きりになって勝手に一人で感傷に浸っていたら、突然にのくんはくどくどとお説教を始めた。

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だいたいさ、なんでメイちゃんと駅で待ち合わせてるっつーのにわざわざこんな暗いとこ来るわけ？

駅の待合にいればよかったじゃん。こんな時間に女一人でこんなとこいるからあーゆー奴らに目ぇ付けられるんだろ？

たまたま俺らがあそこにいたからよかったもののさ、危機感てものをだな、…

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助けてもらって、ほんとにほんとに感謝してるんだけどね？

…にのくん、ちょっとしつこい。

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最初は神妙に聞いていたけど、同じことを何度も何度も言い方を変えて話し続けるにのくんに、いい加減飽きてくる。

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ついあくびをしてしまったら、パチンとにのくんと視線が合って。

私は慌てて「ごめん、ちゃんと聞いてる」と言い訳をして背筋をピンと伸ばした。

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「でもさ」

にのくんは私をじっと見つめて、小さい子供にするみたいによしよしって頭を撫でてくれて。

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「俺、今日ほど相葉さんに感謝した日はねーわ」

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頭を撫でてくれてたその手が背中に回ったと思ったら、ふわりと引き寄せられて、私はにのくんの胸の中にいた。

私の肩ににのくんの顎が乗っかる。

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「…あのヒトがバカみたいに今どうしてもアイスコーヒー飲みたいなんて言わなかったらさ、俺らコンビニ素通りしてたしね」

「、…//」

「だから感謝。笑」

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にのくんが腕を緩めて体を離すと、却って顔がすぐそばにきてドキッとした。

胸の鼓動が早くなる。

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にのくんは何も言えない私をどう思ったのか、また優しく頭を撫でてくれて。

その指は私の髪を梳くように撫で、そのままそっと肩の上に置かれた。

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「…ずっとさぁ、聞こうと思ってたんだけど」

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もう片方の手も、反対側の肩に添えられる。

その両手はそこからするすると私の腕を辿って自ずとその先の掌へと辿り着き、そのままゆっくりと指を絡められた。

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あ、…

ロケットの中でにのくんに触れられた時の、あの感覚が蘇ってくる。

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あの後のにのくんの態度を見て、あれは夢だったのかもって思ってたけど。

肌を滑るにのくんのこの指を、やっぱり私は覚えていた。

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「…お前さ、リーダー、」

「お待たせ！！」

突然、相葉さんがピョン、と私達の前に飛び降りてきて、私達は手を離して慌てて距離を取る。

それを見た相葉さんは笑顔を引きつらせた。