潮騒～Sound of Waves～ 3 (ページ22)

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バイトが終わって、私は大きなトートバッグを持って店を出た。

今夜はメイちゃんちに泊まりに行く約束をしている。

メイちゃんに強く誘われたからなんだけど、私もメイちゃんから借りた洋服を返したかったし、あのロケットでの夢みたいな出来事を話したかったから、ちょうどよかった。

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待ち合わせは大学近くの駅。

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「あと40分かぁ…」

もう、洋服のお礼のイニシャル入りのペアのマグカップも、お土産のケーキやお菓子も買ってしまった。

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どうしよっかなぁ…

駅近くのお店はもう閉まっていて、ぶらぶらと時間を潰せるようなところもない。

私はコンビニでアイスティーを買って、目の前のしおさい公園に行くことにした。

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とはいっても下まで降りると暗いし、私は比較的明るい階段状のウッドデッキの最上段に腰掛けることにする。

トートと、メイちゃんに渡すお土産の紙袋をそばに置いて座った。

薄いワンピの生地を透してウッドデッキに蓄積された熱が、まだお尻にじんわりと伝わってくる。

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私は冷たいアイスティーを口に含んで、見えない夜の海に目を凝らした。

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さざめく潮騒の音に耳を傾け、思い出すのはあの日のこと。

にのくんと二人、智を待つ間にここでカフェオレを飲んだ、あの夜のこと。

それはたった三ヶ月前の出来事なのに、まるで初恋のような甘酸っぱさが体中に広がっていく。

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もう、ここで失恋した大好きだったはずのアイツとのことよりも、にのくんとの思い出の方が大きくなってることに気付く。

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でも、まだ途中。

私のこの気持ちは、さらにこれから、もっともっと大きくなる気がした。

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酔っているのか、上機嫌というにはそれを超えた奇声のような声を発する人達の声が近付いてくる。

ちょっと嫌な予感がしたけど、この時間だから元々酔っ払ったサラリーマンなんかも多い。

すぐに通り過ぎるだろうと思いながら体を強張らせていたら、背後を歩いていた何人かの足音が、私の真後ろでピタリと止まった。

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「ねーねー、キミ一人？俺らと飲みに行かない？」

有無を言わさずドサッと私の左右両隣に座ったその人達から、強いアルコール臭のする息を吹きかけられる。

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聞き覚えのある声に、顔を上げると。

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「…あれ、あんた、…」

私の顔を見てニヤっと厭らしく笑うその人は、以前メイちゃんと私を無理矢理BOXに連れ込んだ、考古学研究会のあの男だった。