潮騒～Sound of Waves～ 2 (ページ6)

今日:8 hit、昨日:21 hit、合計:450,430 hit

45 まさか＊Satoshi＊ページ6

・

・

ニノがさ、Aのことを自分の彼女かなんかみたいにさ、当たり前みたいに髪とか耳とかベタベタ触るのがなんか目障りでしょうがない。

ピアス穴を開けてやったのだって、前に相葉ちゃんやケイコに開けてやった時みたいな流れ作業的なのとは全然違うじゃん。

・

それに俺がAに構うのは当たり前じゃんか。

ほっとけるわけねぇじゃん。

そんなの当たり前なのにさ、なんで俺がニノに咎めらんなきゃいけないんだよ。

・

・

この間ニノがうちに泊まりに来た時だって。

わざわざ俺の部屋のカーテン開けてさ、窓の外眺めてAんち近過ぎだろとかAの部屋の窓はどこなんだって知りたがるし。

・

いつもの人懐こさを発揮してうちの母ちゃんと一瞬で仲良くなっちゃってさ。

リーダーの子供の頃ってどんなだったの？なんて調子いいこと聞くもんだから母ちゃん上機嫌になっちゃってアルバムなんか出して来たりして。

ニノは笑って相槌打ってたけど、でもアルバムの中の俺なんてちっとも見てなかったよね。

一緒に写ってるAのことばっか目で追ってたの、俺がわかんないとか思ってんのかよ。

・

ニノの方こそ自分で気付いてないのかよ。

なら重症だよ。

・

ああ、なんかイライラすんな。

・

・

・

俺はムシャクシャしたままAに声をかけた。

「今日まだ午後の講義あるの」

「うん」

「それ終わったらさ、空けといて」

「え、なに？」

「バイト。A探してただろ。ちょうど俺の友達がやめるらしくて店長から誰か代わりの友達いないか声かけてって言われたんだって」

「嘘！！どんなバイト！？」

Aはバイトと聞いて、興奮したように立ち上がる。

・

「だからそれを聞きに行くんだよ。聞いてヤならやめときゃいいし。でもその子がやってたならちゃんとしたとこだと思うから、俺は」

「きゃーーー！！嬉しい！！智ってばもう忘れちゃってると思ってた！！智のそーゆーとこが好き！！」

そう言ってAは嬉しそうに両手を俺の首にまわして飛びついてきた。

・

・

お互いの頬っぺたが、ほんの一瞬擦れ合って。

その柔らかな感触に俺はかつてAに感じたことのないトキメキとドキドキに襲われる。

Aはすぐに俺から離れて何か言いながら俺の肩をバシバシ叩いていたけど、俺は動揺して耳に入ってこなかった。

・

・

・

俺、まさか。

Aのこと、好きなんかな。