潮騒～Sound of Waves～ 2 (ページ4)

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43 ジェラシー＊ケイコ＊ページ4

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「いえ、…あの、もう一度メイちゃんを説得して、開けてもらおうと思ってたんだけど、…」

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いつも快活なAちゃんらしくない、まるで私に弁解をするような言い方。

普段はくるくると表情がよく変わる丸い瞳が、ちょっと困ってるようにも怯えてるようにも見える。

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ああ、またやっちゃった。

私のいけないところだって、わかってるつもりなのに。

大人げないよなぁ、私。

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どうしてもニノが絡むと冷静ではいられなくて、詰問するような口調になってしまう。

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本当はさっき、Aちゃんがピアッサーを紙袋の中にしまうのが見えてた。

きっとニノがAちゃんのピアス穴を開けてあげたんだって、わかった。

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ジェラシー。

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…でも、仕方ないよね。

だってニノ、ピアス穴を開けるの慣れてるもの。

私が開けてもらった時だって「めんどくせぇ、なんで俺が」って言いながら、頼まれたら結局全員に開けてあげてたし。

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「ニノに開けてもらった？そんなに痛くなかったでしょ？ニノ、上手だから」

私が笑ってみせると、Aちゃんはホッとしたように微笑んだ。

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Aちゃんの笑顔は周りを明るくするような力があって、

メイちゃんみたいなふんわりとした可愛らしさとはまたちょっと違う、不思議な魅力がある。

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「はい！！全然痛くなくてドキドキしてたのがバカみたい。笑」

Aちゃんはそう言って指でピアスに触れた。

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「お前！！今消毒したばっかだろ！！汚ねぇ手で触んなってあんだけ言ったのにバカ！！」

「あ」

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ニノがため息をつきながら立ち上がって、さっきの紙袋から消毒液を取り出した。

慣れた手つきでキャップを開け、手際よくAちゃんのピアスが光る耳たぶの裏と表を消毒する。

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いつの間にかすぐそばに智くんも来ていたことで、私は今頃その存在を思い出した。

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智くんは仏頂面を隠そうともせず、ひどく不機嫌そうに。

何がと言われたら説明できないものの、いつものニノとは何かが違う浮き足だった様子を、ただじっと見ていた。

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ニノは元々こういう距離感の人なんだし、Aちゃんの耳に触れることなんて特に変わったことじゃない。

そう思おうとして。

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私は、チラリと紙袋から覗く透明のセロファンに貼られた小さなリボンのシールが、プレゼント用にラッピングされたものだと気付いた。