潮騒～Sound of Waves～ 2 (ページ14)

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53 夏合宿ページ14

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それからゼミのみんなでゼミ旅行にも行ったし、サークルのイベントもいくつか参加して。

私は慣れないバイトに悪戦苦闘しながらも、とても充実した日々を過ごしていた。

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ただ、相変わらずにのくんのそばにはケイコさんが寄り添うように一緒にいて。

私はにのくんとケイコさんの一見恋人同士のような不思議な関係を傍目に見ながら、自分はこの先もこの二人の間には入っていけないものと思っていた。

それでも、にのくんを好きだと思う気持ちだけはどうしようもない。

エミさんのように告白をしたり、気持ちにケリをつけるために好きな人から離れるなんて潔いことは私にはできない。

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一日のほんの少しの時間をにのくんと過ごせるだけでいい。

にのくんくんと会えるだけで幸せな気持ちで満たされて、私はその時間を糧にバイトや試験を頑張ることができた。

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そんな私の恋が少なからず動くことになる。

それは前期が終わって二ヶ月という長い夏休みを迎え、東京キャンパスの潮騒会と合同で行われる、一週間の合宿でのことだった。

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「じゃあ、あっちで会おうねー！！はい、それぞれしゅっぱーつ！！」

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相葉さんの号令の後、みんなで配られた合宿のしおりを覗き込む。

費用だけは前もって徴収されたものの、今日まで私達に知らされていたのは日程だけ。

行き先もそこで何をするのかも、全てがシークレットだった。

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てっきりみんなで大型バスででも向かうんだとばかり思っていたのに。

なのに相葉さんは、名簿を見て振り分けられたグループごとに別れて、自由に交通手段を決めて目的地まで来てね、なんて言って。

えーーーっ！！ていうみんなからの大ブーイングの中、嬉しそうに笑ってブンブンと両手を振った。

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「えっと、…私は」

「Aちゃん！！にのくんと同じ班だよ！！」

「嘘っ」

メイちゃんと二人で名簿を覗き込む。

そこには確かに、にのくんと同じグループの中に私の名前があった。

「やだ、…どうしよう」

「よかったじゃない！！ケイコさんは私と同じ班だよ。ほら、頑張って！！」

メイちゃんはいつになく力強く私の背中を叩く。

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すっごく嬉しいけど、ドキドキし過ぎて…

だって、一週間にのくんと過ごせるだけで嬉しくてたまらなかったのに。

同じ班ってことは、今から移動する間だけじゃなくて、合宿の間中ずっとにのくんと行動を共にできるってことだもん。

ドキドキしないわけがないよ…