潮騒～Sound of Waves～ 2 (ページ2)

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41 一度きりのピアスページ2

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さっきにのくんが手櫛でざっくりとまとめてくれたこのスタイルは、おくれ毛が何だかいい感じに可愛く見えて、崩すのがもったいなくて。

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「お前がこれでいいなら俺は別にいいけど」

「だってほら、この髪型の方が耳を出せるでしょ？ピアスも目立つし」

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あのね、にのくん。

世界中の人に見せたい気分なの。

これにのくんがつけてくれたのーって。

いいでしょーって。

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「確かに髪が耳にかかんねぇ方が衛生的だな。汚い手で触んなよ？」

「…にのくんて、女心には疎いんだね」

「どーゆー意味よ？」

にのくんがちょっと眉を寄せて考えるような表情をしたから話を切り替えた。

「あのね」

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私が鏡の角度を変えてそこに右耳の黄色いキラキラを写し出すと、窓から差し込んだ太陽の光が反射して、それがにのくんの顔を直撃する。

思い切り油断していたにのくんは慌てて目を瞑り、「眩しいだろ」と顔を顰めた。

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その顔が思いがけず男っぽくてカッコ良くて、キュンとする。

こんな些細なことで私の胸は波打つ。

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「あは、ごめん。…このファーストピアスなんだけどね」

「いざつけてみたら思ってたイメージと違いましたか」

「まさか！！すごく好き！！想像してたよりもずっとずっと素敵だもん。

でもね、このピアス穴が綺麗にできちゃったらもうこのピアスはつけられないわけでしょ。…なんだか寂しいなって」

「そりゃ無理でしょ。ファーストピアスってポスト部分の先っぽが尖ってんだからさ。つけたり外したりしたら危ねぇって」

「わかってるけど」

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だけどせっかくにのくんが買ってくれたピアスなのに。

たったの一ヶ月きりで、もう二度とつけることのできないピアスなんだって思ったら切ないじゃない。

ずっとつけていたいもん。

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そう言いたいのを飲み込んで寂しいっていう感情を封じ込めたら、私は無意識に唇を尖らせてたらしくて。

私の顔を見たにのくんは手で口元を覆って、声なく肩を揺らして笑った後。

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「ハイハイ。また買ってやるって」

そう言って人差し指で私の唇をちょん、と突ついた。

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「口、タコになってんぞ。笑」

「ち、違っ！！私そんな催促したかったわけじゃなくて！！///」

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にのくんに触れられた唇に意識がいっちゃって、胸がバクバク破裂して死にそう。

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タコどころか茹でダコみたいに真っ赤になってるだろう頬っぺたを両手で覆ったら、廊下から物音がしてドアが開いた。