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one summer2(ki視点) ページ10

“口許の青のり”


そう指摘されてハッとした。
一緒に食いたいと思って買いに行ったけど、
アイツを探してるうちに腹が減って自分の分は腹の中に…



言い訳を考えていた矢先
一歩ずつ迫ってくる目の前のコイツに
同じく一歩、また一歩と後ずさるけど気付けば背中に壁。



ただでさえ心臓バックバクなのに、顎クイとか。
おまけに…


「…ねぇ、言わないとずーっとこのまんまだよ?長引けば辛くなるの、宏光でしょ?」



なんだこの美味しいシチュエーション!?
一瞬自分が何処でナニ…じゃねぇや、
なにしてんのか分かんなくなっちまったじゃねぇか!


…なーんて舞い上がっている気持ちが半分
もう半分はそんなわけねぇのに、ってすげえ冷めてて冷静だった。


「…そうだな、すげえ辛いから…もう終わりにするわ。」


僅かな変化だったと思う、
ほんの少し低くくなっただけの声に太輔は瞳を揺らし始めていた。



「…ひろ、みつ…?どうかしt「俺、お前とは花火見ない。」…っ!」


「大切な人が出来たんだ、だから…お前も俺で遊んでないで、彼女…大事にしろよ?…んじゃ、元気でな。」


目を見開かせて口を開こうとする太輔を見て、
どうして?と言おうとしているのが直ぐ分かった。


何か言われる前に掛けていた袋ともう一つ、
さっき見付けたばかりの贈り物をその手に握らせて、力いっぱい走った。


“アイツには彼女が居る”


そう学生時代に噂されていたのを耳にした事があった、それが事実かどうかなんでどうだって良い。
ただアイツから離れるための口実になれば、
そう思って口にして正解だった。



立ち止まって振り返ってみたけど、
アイツは追いかけて来ない。



「はは…、そりゃそうだよな。あんな一方的に言って逃げてきた奴なんか誰が──っ!」


自ら突き放しておいて我ながら女々しくて笑える
“追いかけて来て欲しかった”なんて。


そう願ってしまったからバチが当たったのか、肺の辺りが悲鳴を上げて思わず横たわる。


「はぁ…、く…っ──!痛ってぇ…。」


元々身体が弱かった俺は、
学生の頃から過剰な運動は控えるよう言われて来た。
もう何年も症状が出ていないからって調子に乗っていればこの様。


情けなくて、みっともなくて
目尻に浮かぶ雫を乱暴に拭っていると歪んだ視界の中…アイツを見付けた。


お前なんか…っ、嫌いっ!大っ嫌いだから…!
だから、だから…



俺を嫌いになって、早く忘れて、誰よりも幸せになってくれよな。




END

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作者名:lai | 作成日時:2018年2月24日 18時

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