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one summer ページ7

待ち合わせ時間の10分ほど前、
指定された場所へと向かいながら
君と交わした一つの約束を思い出した。


“なぁ…今年の夏はすっげえデカい花火、二人で見ようぜ!”


“言い出しっぺなんだから破るなよ?”


“お前こそ、彼女出来たから…とか無しだかんな!”


“そっちこそ!”


その約束は十年経った今、
漸く果たされようとしている。


何故あれから十年も掛かってしまったのか、
それは…



「…遅い、相っ変わらず10分前行動が出来てねえな。」



女性物の赤い浴衣に
サイズの合っていない大きめの下駄は、
まるで子供が親に着せられているようで。



「お前は相変わらずちっちゃいな、ミツ。」


思わず吹き出してしまいそうになり堪えれば、
今にも噛み付きそうな勢いで睨み付けてくる彼に懐かしさを感じた。



十年前、まだ部活に勉強にと励んでいた学生時代からの親友で今も変わらず付き合っている唯一の存在である彼。



夏祭り前日、二人で夜更けまではしゃいで
約束の一時間前まで一緒に過ごしていた。


それから約束の“10分前”
指定された場所へと向かったけど、
ミツが来る事はなくて。



代わりにLINEから“ごめん、行けない”
そんなメッセージが届いていた。



「──い、おいって!時間勿体無いだろ?早く行こうぜ。」


カラン、コロン



歩きずらそうに左右に少し揺れながら
前を歩いていく小さな背中、



目を離せば人混みに紛れて
直ぐにはぐれてしまいそうで、咄嗟に手を取ってそっと握り締めた。



「…こうしてれば迷子になられる心配もないからな。」



自分から繋いでみたのはいいものの、
何だか気恥ずかしくて得意気に笑って見せる。


すると目を丸くさせて顔を俯かせたミツが、
何も言わずただしっかりと繋いだ手を握り返してくれた。


それだけで嬉しかったのに、
ほんのりと赤らんだ耳に気付いて
緩む口許を隠さずには居られなかった。


ほんの小さな出来事一つで幸せだから思う
”あの日“の事…




なぁ、俺ずっと楽しみにしてたんだよ?




あの日…お前に何があったの?

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作者名:lai | 作成日時:2018年2月24日 18時

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