検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:13,021 hit

停電 ページ6

ヤバい、この状況は非常にヤバい。



「たいすけ…っ、」



座り込んだ俺の胸板にピタリとくっ付いて、時々鼻をすするのは恋人で。



普段なら“大丈夫だよ”とか
“俺が居るよ”なんて言葉を掛けて
直ぐに安心させてあげるんだけど…



お互いの姿がうっすら分かるほど薄暗い廊下、
何故か胸元まで隠すようにバスタオルを身に纏った姿の恋人を見て思わず目眩がした。



「太輔っ!ちゃんとギューッてして!」



反射的に抱き留めていたけど、
視界が悪いから危うい処に触れてしまう危険性を感じて一度手を下ろしていたところ涙声で言われてしまった。


いつもなら可愛いおねだりも、
今はただの拷問でしかない。



「宏光?落ち着いて、一回離れよう。ね。」



「ヤだっ!なんでそんなこと言うの?太輔は…俺のこと嫌い?」



「大好きだよ!…大好きだから、一回離れて服着よう?このままだと風邪引くし。」



まだ納得いかない様子だけど、
このまま風邪引かれたくないし
正直俺の理性も危うい。

とはいえ…服を取りに行くのも一苦労だから、
一先ず上着を脱いで掛けてあげた。



…ところまでは良かったんだけど



「あったかーい…それに、太輔の良い匂いする。」



所詮萌え袖になっている袖口を鼻先に近付けて
くんくん、と子犬みたいに匂いを嗅いでいる宏光に再び目眩がした。



この美味しいようでそうじゃない状況に
次第に慣れていく自分が怖いけど、



数分前の泣き顔が嘘だったかのように笑う
恋人の姿に自然と笑みが零れた。



触れたくなって手を伸ばしていると、
途端に眩しいぐらい明るくなった視界に
目を凝らしながらホッと一息吐いて宏光の方を見れば絶句。



「あ、電気付いたー!良かった…。ね、太輔?」



俺よりも安心した様子で笑い掛けてくる宏光に
視線を逸らしながら“うん、そうだね。”
と手を引こうとすればギュッと握り締められる。



そして漸く自分の姿に気付いたのか、
瞬きを繰り返しつつ口許に深い笑みを浮かべて



「…えっちー、そんなに慌てなくてもたっぷり触らせてあげるのに。」



なんて爆弾を落としたまま、
触れそうになっていた胸元へ押し付けるように俺の手を持っていった。



さっき離れることを拒んでいた時に
恐らく緩んでしまっていたバスタオルは、
今現在…床の上にある。


自分で触れさせたにも関わらず
甘い声を漏らす恋人に、理性なんていとも簡単に崩れた。




「先に誘ったの、宏光だからな?」




fin

one summer→←secret2



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
67人がお気に入り
設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , キスマイ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:lai | 作成日時:2018年2月24日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。