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secret ページ3

辺り一面真っ白な部屋、
そこで見付けた小さな背中は凄く見覚えがある。



毎日のように顔を合わせていて見間違うはずがない、幼馴染だ。



日頃から見慣れたその背中はいつもより小さくて、
何処と無く淋しそうな…そんな風に見えたんだ。



だからかな。



普段なら悪戯心が芽生えてちょっかいを出すところなんだけど、少しだけ心配になって
“どうしたの?”と声を掛けてみた。



なるべく刺激しないように、
いつもの何倍も優しく、そう心掛けて。


すると君は、ゆっくりと振り返って
ふわりと笑ってみせた。



その笑顔があまりにも綺麗で
一瞬目を奪われたのは、きっと──。



普段なら安心感を抱くはずなのに、
君が何処か遠くへ行ってしまいそうな気がして
僅かに不安を感じた俺は、無意識の内に手を伸ばしていた。



けど、その手が君に届くことはなかった…。



何故なら君は、泡となって消えてしまったから。


まるでおとぎ話に出てくる人魚姫のように…。



最初からそこには俺しか居なかったのように、
たった一枚の紙切れだけを残して…。



一人取り残されてしまった俺は
伸ばしたままの手を強く、強く、
握り締めてただ立ち尽くす事しか出来なかった。




「ぶっは!なんだそれっ。お前それで呼び出して早々に“俺、絶対に秘密は守るから!”とか言ってたのかよ。」



腹を抱えながら床に転がっているのは、
言うまでもなく夢に出てきた幼馴染。



まあ、所詮“夢落ち”ってやつだったんだけど。
あんな夢見て冷静で居られるはずがなく、
幼馴染を呼び出した…んだけど…



「あー、腹痛い。つうか俺、男なんだけど。おーとーこ!なに人魚姫って、しかも姫!お前の方が合ってんじゃね?」



未だにヒーヒー言ってるこいつ見てると、
何だか馬鹿らしくなってきたのと同時に
無性に腹が立ってきた。



誰のせいだと思ってんだか。
なんて、分かるはずもないんだけど。
俺の“想い”も。



「…俺、宏光の事も守るから。」



今までずっと、幼馴染として隣にいようって
隠して続けてきた。



そんな事しなくても鈍感なお前は気付かないけど
たまに鋭い所があるから。



ただ、抑えきれない時もあって
何度か抱き締めた事もあったんだけど…



“どうした?”なんて背中に腕を回されて
逆に俺がキュンとしてしまった。



けど、未だに分かってないみたいだから…
鈍いお前でも分かるようにちゃんと話すよ。




だからそろそろ、俺の“秘密”に気付いて。

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作者名:lai | 作成日時:2018年2月24日 18時

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