検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:13,017 hit

夢? ページ1

夢を見たんだ。



よく見慣れたいつもの楽屋で
隣の部屋まで聞こるんじゃねぇかってぐらい、
賑やかに過ごしているメンバー達の姿。



そんな当たり前な風景を
ソファーに寝転がって眺めている俺。
そんな“俺”を入り口から遠目に眺める俺自身。



そんな夢ん中でただ一人、
静かにこっちを見ている…藤ヶ谷と目が合った。



何故かアイツはソファーにいる俺じゃなくて、
突っ立ってる俺自身を見ている。



それだけの事なのに、
途端に心臓が嫌な音を立て出して。



どうにか気を紛らわせようと
“お前、俺の夢ん中に入ってきたのかよ!”
なんて冗談を言ってやろうかと思ってたのに。



気づけば目の前には顔を歪ませて
今にも泣き出しそうなアイツがいる。
そんな姿に胸が締め付けられたかように
息が苦しくなっていった。



なんか声を掛けてやりたいのに、
言葉が詰まって思うように話せない俺に気付いてか…ただの偶然か。



口を開いたアイツに安堵したのも一瞬の事で。
藤ヶ谷から告げられた言葉に、
頭が真っ白になっていくのが分かった。



“…ごめんな、北山。”



なんでそんな顔してんだよ、
何に対しての“ごめん”なんだよ、



そんな言葉も言ってやれないまま
目を覚ますと、そこは楽屋ではなく
自宅のベッドの上で。



少しだけホッとして寝返りを打てば、
ついさっきまで泣きそうになってたアイツが
心配そうに見詰めていた。



それだけの事なのに
次から次へと涙が溢れ出したのは、
不安からか安心からか。



俺にはどちらかなんて全く分からなかったけど、



“何か怖い夢でも見たの?”
“誰が俺の北山を泣かせたの?”



そう聞いてくる…“恋人”の顔が仕事の時よりも
あまりにも真剣なもので。
ちょっと笑いそうになったけど、
全部どうでもよくなってきた。



…ただ、これだけはどうしても言わせてもらいたい。



「俺はずーっと俺のもんだよ、バーカ!」



なんて言って下手くそに笑ってやると、
アイツはクスクス笑いながら
“駄ー目。北山は俺のだから、代わりに俺をあげる”



そう言ってきた藤ヶ谷に餓鬼かよ、
とか自分の事棚に上げて思ったけど。



俺はとっくに藤ヶ谷のもんだし、
そんな藤ヶ谷は俺のもんだ。



そんなことは、直ぐ調子に乗るから
絶対に言ってやらねぇけど。
こうやって傍に居られる事、居てくれてる事、
他にも沢山…すげぇ感謝してる。




だからうっすらと残る涙の跡は、
見なかった事にした。

夢?(F視点)→



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
67人がお気に入り
設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , キスマイ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:lai | 作成日時:2018年2月24日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。