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治さんはすぐに電話に出た。
「やあ珍しいねえ、織田作から電話なんて。これは事件の予感だね!むむむ、私の天才的頭脳で内容をあててみせようか。ずばり織田作は、突然ものすごく面白いギャグを思いついて、いても立ってもいられずに私に電話を…………」
少しの間が空いたあとに彼は
「逃げ道を塞げって事だね?」
私は驚いた。確か織田作之助は最下級構成員だったはずだ。
なのにどうしてこんな親しげに……?
この人が前に言っていた【友人】なのだろうか。
だったとしても五大幹部…ましてやあの太宰治を顎で使うとは…
「よせったら、そんなもの無くたっていいよ。窮地なんだろう?……………すぐ部下に道を封鎖させるよ。私も向かう。あまり深追いするなよ織田作」
銀の託宣か……!!
織田作之助が首領の部屋に呼ばれた際に貰ったのだろう。私はその時出払っていたからな…
彼には確か坂口安吾の捜索にあたってもらったと言っていたが、確かに坂口安吾はポートマフィアにおける頭脳だ。だが、そのことをどうして織田作之助に…?何故伝説の銀の託宣を出してまで捜索させるのだろうか…
ミミック…坂口安吾………織田作之助
なんだか怖い
何かが起こる気がする。
マフィアにとっても、双黒にとっても、
私にとっても とても大きなことが…
人生のルートが変わってしまうような何かが…
「Aちゃん!一緒に行こう!」
「ええっ?!」
「おい!俺はどうしたらいいんだよ!」
「中也は自分の仕事があるじゃないか!それをやり給え!」
「待ってくださいよ〜!」
「………俺、取り残されてる?」
***
私達が道を塞いだ時には、もう織田作之助とミミックの構成員が接触していた。
織田作之助が敵に挟まれ転がって距離をとり、立ち上がった瞬間
「織田作!屈め!!」
私は閃光手榴弾を投げ込んだ
空が降ってきたような轟音が路地裏に炸裂した。
閃光、破裂音。金属が裂ける高音に、地面や壁が砕け剥がれる破砕音。水平方向にぼうだと流れる9ミリ弾の雨を私は眺めていた。
しばらくして彼は言った。
「君は全く困った男だなあ織田作。君はその気になれば、こいつらなんかひと呼吸のあいだに殺せるだろうに」
まるでこれからアイスを食べに行くんだとばかりの明るい少年が現れた。
治さんが織田作之助に手を差し出し、それに応じて手に捕まり、立ち上がった。
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作者名:あさ x他1人 | 作成日時:2019年12月31日 23時