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織田作之助は幹部級の構成員を総動員させてまで助けるべき人材なのか。

その答えは否。

彼は立場上最下級構成員だ。
確かにこの間一度あった時の治さんを助けようとした動きは素晴らしかった。

最下級構成員にしておくのが勿体無い程の実力者だ。

もし彼の人を殺さないという信念が無ければ、彼は間違いなく幹部級であっただろう。

だからといってマフィアの全勢力を彼の為にぶつけて良いのだろうか。

そんな事を考えているうちに私は二人分のお茶と饅頭を持って首領の執務室の前に立っていた。

まだ部屋の中からは首領の声がしている。
だがコツコツと足音が聞こえている。

治さんだろう。

こちらの入り口に近づいてきている。

「開けてください。」

黒服たちが扉を開けた。

私からちょうど3メートルの距離に彼は立っていた。

黒服たちに銃口を向けられた状態で。

 
だけど彼は迷いなくこちらに向かってきて私の目の前で立ち止まった。

「あら、饅頭は召し上がらずにお出かけですか?」

「お出かけなんて楽しいことじゃあないよ。友人の危機だ。いかなくちゃね。」

「治さん」

「何だい?」

「死なないでくださいよ。私からの……一生のお願いです。」

「Aちゃんにお願いされたら断れなくなっちゃうじゃないか………でも……ごめんね」

そう言って彼は早歩きで私を通り過ぎていった。

「治さん!!!!」

私が精一杯の大きな声で彼の名前を呼んだとしても、振り返ることは無かった。


「黒服の皆は一度出て行ってくれるかい?」

 
首領は黒服達を部屋から出した。


何を話されるのかは明確だった。


「さあ、Aちゃん。君の話をしようか。」


***


「なんでしょうか、首領。」

「頭の回転が早いAちゃんの事なら大体何を言われるのかはわかっているんじゃないかい?」

「首領の命を狙う者……のお話ですか?」

「そうそう!出来の良い娘を持てて私は幸せ者だなあ」

「首領の命を狙う者が分かりました。」

「ほう、一体誰だったんだね」

「……まず、最初に疑ったのは組織外の人間です。勿論今はミミック戦の最中ですから彼らが首領の命を狙うというのは…まあ…当然と言えば当然ですよね?」

「ほう。」

「でも違う。なぜなら彼らの目的は貴方の首ではないから。彼らの目的は織田作之助に殺されること。これはジイド本人が言っていたことなので間違いないと思われます。」

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作者名:あさ x他1人 | 作成日時:2019年12月31日 23時

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