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S side
一生懸命、俺を励まそうとしてくれて
翔は悪くないって
翔ならいい人見つかるよって
ホントに一生懸命伝えてくるんだ。
…なんか、愛おしくて。
自分でも何言ってんだかわかりません、みたいな顔が
…可愛くて。
翔「・・・ブフッ！ハハハッ！さすがA！好きだわー、お前のそういうとこ！」
思いっきり笑った。
あいつと別れて以来はじめてかも、本気で笑ったの。
顔真っ赤にして日本酒飲んでるし。
ぼんやりと、ほんとに薄っすらと、
好きだな、
そう思った。
それがそういう恋愛的な好きなのかわからないくらい、
ぼんやりとした“好き”だった。
同期としては元々好きだ。
仲の良い同期の中でもこいつは特別。
その特別が、
散り始めた桜が溶け込むように
色を持ち始めた。
そう思った。
出てきた涙は
笑い過ぎたせい
…ってことにしとこうか。
・・・・・
梢「何かご用ですか？誰か呼びましょうか。」
翔「あ、えっと…A、いますか。立花A。」
梢「あ、Aさんですか？今ちょうど打ち合わせで…
何か伝えておきましょうか？」
翔「あ、いえ、大丈夫。大した用じゃないから。
俺、あいつと同期の櫻井です。また来るよ。ありがとう」
たまたま商業部のフロアに用事があったから、
あいつと話せるかな、
飲みにでも誘おうか、
そう思って寄ったんだけど、タイミング悪かったな。
Aの後輩っていう子に、お礼だけ伝えてその場を後にした。
あいつと飲んだあの日から気分がかなり楽になった。
でも今度は
“Aに会いたい、話したい”
って思ってソワソワし始めた自分。
あぁ、これはいよいよあいつのこと…
恋ってそんなもんなのかな。
失恋の傷を埋めるのは新しい恋っていうし。
あー、らしくねぇ、こんなこと。
あいつ、次いつ空いてるかな…
LINE、してみようか…
そう考えただけで口元が緩む自分に
笑ってしまう。
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作者名：ぽろ
| 作成日時：2016年5月11日 20時
