拾われた少女とシェアハウス

2.シスコン予備軍 ページ4

｢ただいまー｣
幼さが残る声が玄関に響く｡
｢あれ?何この小さい靴
ちっちゃい子でも来てるの?｣
トタトタと近づいてくる足音にサッと神谷の後ろに隠れるA｡
｢おー､おかえり壮馬｣
｢玄関の鍵開けっ放しにしてたの誰ですか?｣
｢あー､僕だ｡ごめんごめん｣
｢神谷さんか…泥棒でも入ったのかと思って焦りましたよ｣


黒いランドセルを床に置きながらため息をつく少年は､神谷の後ろに隠れたAを見つけた｡
｢……?その子誰の子ですか?｣
｢あぁ､この子は今日から家族になった子だよ｣
｢俺の娘みたいなもんや｣←
鈴村の声は無視して､｢あぁ､昨日言ってましたね｣と納得する少年｡
｢無視とか酷ない?…まあええわ
ほらAちゃん､オニーチャンに挨拶せな｣
｢おきいましろ､です…｣
神谷のズボンをぎゅっと握りながら小さく呟くA｡
｢俺は斉藤壮馬｡よろしくね､Aちゃん｣
｢そーま､にぃ…?｣


｢…俺､妹欲しかったんです!!｣
Aを抱きあげてその場をクルクルと回り出す斉藤｡
｢立派なシスコンになりそうやなぁ…｣
遠い目をする鈴村｡
｢Aちゃんに1番歳が近いの､アイツだし仕方ないんじゃない?
大人びててもまだ12歳だし､｢お兄ちゃん｣になれるのが嬉しいんだよ｣
冷静に分析する神谷｡


｢俺…!!Aは嫁に出しません!｣
｢…アレ､もうシスコンになっとるな｣
｢はぁ…､もう僕知らない｣
疲れきった大人を癒す天使が2人に増えたようだ｡





｢｢｢俺らの出番は!?｣｣｣
と叫ぶ彼らは一体､何者なのだろうか…←

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