【カゲプロ】おしまいだぜ！【ヒビヤ】

第五十四話 ページ15

すると窓から、犯人らしき男の顔が見えた。

狂ったように笑って、銃をこちらへ向ける。

気付けば夜で、月夜に照らされて、

その男の顔に恐怖を覚えた。

銃を無闇に撃つ犯人。

悲鳴があがる。

人が血を噴き出して倒れていった。

銃の矛先が私に向かれた瞬間＿＿。


ドンッ


そんな音が聞こえた。

目の前にはAがいて、

拳を前に突き出している。

それを開くと、パラパラと銃弾が

零れ落ちた。

犯人ですら驚く中、Aは近くの机を持ち上げ

それを犯人に向かって投げた。

机は窓を突き破り、犯人に命中する。

Aの顔を見るとそれは

無機質で人形のような目をしていた。

先ほどの狂った笑顔も感じられない。

犯人は窓際で立ち上がるとAに銃口を向けた。

Aは犯人に近付いて教室の中に引き入れた。

クラスメイトの筆箱からハサミを取り出し、

それを転がった犯人の手に突き刺す。

「あああああああっ！」

聞こえる悲痛な声。

それを無視して、さらに犯人を殴る。

ひたすらに殴って殴って＿＿。

犯人が動かなくなっても、

顔が原形も求めないくらいボコボコになっても

やめる気配はなかった。

殴る殴る。

やっと止めたAは立ち上がって、

生き残ってるクラスメイトに向かって、

また銃の真似をした手を自分の頭に突きつけた。

月光に照らされたAの髪は

綺麗な銀色に光っていた。

目が赤くて、私と同じかもしれない。


『dead or killer』


綺麗なソプラノの声がその場に響く。

どういう意味か、私には理解できた。

『あなた達はどっちを選ぶの？』

光のない赤い目でそう呟いたAは

残酷な程に綺麗だった。

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