【カゲプロ】おしまいだぜ！【ヒビヤ】

第五十一話 ページ12

過去 〜ミサキside〜


いつも通り、いつも通り。

全てがいつもと一緒だ。

窓の外を眺めながらため息をつく。

教室では、男子と女子がグループで

わいわい騒いでいた。

人付き合いの悪い私がそんな輪の中に

入れるはずもなくて＿＿。

「はぁ…」

本日何度目になるか解らないため息をついた。

『えっと…ミサキさん、ちょっといいかな？』

後ろの席の女の子が話しかけてきた。

机の上には数学の教科書と、ノートが置いてある。

「どうしたの？」

対して仲が良い方ではなかった。

いや、そのまま椅子ごと振り返る。

『ここ、解らなくて…教えてもらっていい？』
「いいよ。あぁ、これは＿＿」

公式を使いながら説明をしていく。

彼女は真剣に話を聞いてて、私が教えた通りに

計算をする。

時折、頭を捻らせながらも一応、

教科書の問題は全て解けていた。

『終わったー…ありがとう！ミサキさん』
「いや、私も復習になったし」
『そっかーそっかー…あ、放課後空いてる？』
「え、うん…」
『じゃあ、一緒に帰ろ！ええと、弟も一緒なんだけど…』
「…隣のクラスの…」
『あ、知ってる？』

いや、この学校では知らない方が珍しい。

女子と男子の両方の間で人気。

あれは稀に見る草食系男子だ。

『ミサキさんって……』
「……ミサキでいい。私もAって呼ぶから」

そう言っただけなのに、嬉しそうにはにかむ。

『うん！あ、やば。チャイム鳴っちゃう。
じゃあ、放課後にね』
「…うん」

急いで次の授業の支度をするAは

見てて面白かった。

それにしても中学生で一緒に帰るとは

仲が良い姉弟だなぁ。

若干羨ましく思いながら、

私も次の授業の準備を始めた。

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