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†弐拾捌話† 依る絲 ページ29

「…カ…ルラ…さ…」

「…ふん、」

…気のせいだろうか。

カルラさんの表情が、微かに柔らかくなったのは。

「…悪ィな、A。
オマエが、欲しかった。
…だけど兄さん…幾ら何でも無理に抱くのは…ねェ?」

まるで反省していない駄々っ子。

シンは、自覚しているのだろうか。

自分が、“兄さん”と呼ぶ時の表情。

それ故幾ら反発してもカルラさんはシンをたった一人の弟として可愛がるのだろう。

そんな解り難い愛情故にシンは更に反発する。

「…そうだ、カルラさん…?
…これ…お返しします」

解いたマフラーに、少しだけ。

少しだけ、しかし確かな愛着を感じた。

それを無言で受け取るカルラさん。

「…ところでA?
…オマエ、気付いてる?」

「…え、何に…?」

小首を傾げ、シンに問う。

「…兄さんが珍しく焦るのは見物だけど…今のオマエ…“彼シャツ”、“萌え袖”、“半裸”。
…早く着替えねェと、俺も兄さんも堪えらんなくなるゼ?」

きょとん、として私は自分の体を見下ろした。

…えっと、今…裸にシャツ一枚…?

「…っ、やぁぁあああああああーーーっ?!」

「…待て。
此方を向け、」

「…は、ひ…っ、」

突然呼び止められ、私は涙目でカルラさんの方を向いた。

ゆっくりと首に回されたマフラーが、ぎゅうっと絞められる。

Oh、今度は絞☆殺?←Aさんキャラ崩壊ww

…なんて、油断したのが運の尽き。

「…ん…ふぁ…っ、」

「は…っんん、」

甘い声と、唇の微かな感触。

マフラーで引き寄せられ、私は目を丸くして息を止めた。

…けれど、柔くついばむ唇は。

「…超目に毒。
…ばいばい♪」

喚ばれた時と同様に瞬間移動で消えたシン。

その兄は、幾ら抵抗しても止まらない。

次第に、理性が崩壊する音が聴こえてきて。

「…っ、…ぁふ…」

舌が入って来た瞬間息を吸えば、自然とカルラさんの吐息が肺に流れ込む。

あぁ、溺れる。

止まらない欲は、余りの長さに私が腰を抜かすまで続いた。









「…口付けも吸血も…その肌に触れる事さえ碌に出来ぬ、最悪の数日。
…その責任は…取って貰うぞ、A…?」

毒々しい迄に甘く低い声に、体がびくりと震えた。

「…私で…良ければ…」

囁く声は、微かな吐息と唇に全て呑み込まれて消えた。

†弐拾玖話† さ迷う絲→←†弐拾漆話† 逆流る記憶


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設定タグ:ディアラバ , 月浪カルラ , 月浪シン   
作品ジャンル:恋愛
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*SSU* - カルラ様〜〜〜〜〜〜♪愛してる〜〜〜♪ (2020年5月10日 2時) (レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - 忘れてましたが!詩音は、私の3DSのアカ、こっちはスマホのアカになります。 (2017年7月4日 18時) (レス) id: 7eba9d74c6 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - ゴミみたいな下手な絵でカルラさん御免なさい… (2017年7月4日 17時) (レス) id: 7eba9d74c6 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - 携帯買ったので、一々パスワード入れずに済む…っ!!( ≧∀≦)ノ嬉しい (2017年7月2日 20時) (レス) id: 7eba9d74c6 (このIDを非表示/違反報告)
詩音 - Schicksalさん» そうですね。カルラさん好きの人に会えて光栄です!!これからも閲覧宜しく御願い致します♪ (2017年6月27日 22時) (レス) id: 30e1d5a9e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:詩音 x他1人 | 作成日時:2017年4月2日 21時

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