26.じゃあ、なんで？ ページ26
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“ーーーー…A”
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二宮くんが私の名前を呼んでくれたとき
私の名前が、キラキラとした宝石のように思えた。
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「ーーーー…わかんない！」
彩音「うるさい」
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あれから。菜月ちゃんと私はLINEを交換して、「じゃあね」と別れを告げて
用事がお互い無いから、もう一度だけ学校に戻ってこの荷物を置いて帰ろうという事になって
櫻井先生に渡した後、いつもの帰り道を二人で辿って。電車に揺られて
「じゃあまたね」と手をひらひら振った。
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でも。
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家に帰っても、お風呂に入っても、ご飯を食べても、寝ても覚めても
昨日の二宮くんのくしゃくしゃの笑顔と、頭を撫でてくれた手の感触と、私の名前を呼んでくれた声が
私の頭を占領していて、何にも手に付かなかった。
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なんだか自分が自分じゃないみたいで、不思議な感覚。
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彩音「んで？そのー、菜月って子は二宮くんとどんな関係だったの」
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彩音がポッキーを口にくわえながら、ピュレグミのパッケージを開けて聞いてくる。
私は机に突っ伏しながら、昨日の帰り道の二宮くんの言葉を思い出す。
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「ただの……、友達だって言ってた……」
彩音「あ、聞いたんだ。」
「うん…、帰りの電車で」
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ーーー…『ねえ二宮くん』
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ゆらゆらと揺れる電車の中で、隣同士。ちょうど座れて肩と肩が少しだけ触れ合って
肩だけ妙に熱いのを感じながら、恐る恐る尋ねた。
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和也『ナニ』
『あの……、さっきの菜月…ちゃんって子ってさ』
和也『あぁ』
『どんな関係なの？』
和也『関係？』
『その……、か、のじょ……とか…』
和也『あー。菜月はただの友達だけど』
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二宮くんはそれだけを言うと、腕を組んで駅に着いたら起こしてとぶっきらぼうに言うと
そのまま浅い眠りに就いてしまった。
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彩音「ふーん。ただの友達、ね」
「うん……」
彩音「それ以上は詮索出来ないね、そう言われたら」
「うん……」
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「ただの友達」と言われたのに、あんなにハッキリと言われたのに
このモヤモヤは、なんなんだろう。
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